065話 文化祭編・一つの未来(03) 時間逆行
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えないか? お前ならすぐに降りる事ができるだろう?」
「そうでござるな。拙者、先にいっているでござる」
そう言って楓は螺旋階段の真ん中の空いているスペースを飛び降りていった。
「おい!? そんなに簡単に飛び降りても大丈夫なのか!?」
「ご安心を。楓は甲賀忍者。これしきの高さなどものともしません」
「あー……思っていたけどやっぱ忍者なんだな…。あたしの常識が塗り替えられてく〜…」
長谷川さんはそれでぶつぶつと言い始めましたが、もう慣れてもらうしかありませんね。
そして私達もしばしして地下最下層へと降りていったのですが、そこで予想外の光景を目の当たりにする。
あの楓が傷だらけで倒れているのだ。
「楓! どうした!? 誰にやられた!?」
「くっ……士郎殿と高畑先生にでござる……」
その名を聞いた瞬間、私の中で何かが騒ぎ出した。
誰だ…?
士郎さんを語る不届き物は……?
視線を向ければそこには確かに士郎さんと高畑先生の二人に、後幻想種のケルベロスに乗っている背の小さい子が立っていた。
二人とも無表情でこちらを睨んできていた。
「なんで!?」
「士郎老師アルか!?」
「え!? だって、なんで……」
皆さんが動揺していますが私は至って冷静です。怒りの感情が滲み出そうですがね。
見るとお嬢様も私と同じ感想なのだろう、怖い顔になっていた。
士郎さんはおもむろに口を開き、
「俺はなんとか医療スタッフに緊急処置をしてもらい、息を吹き返したんだ…」
「そういう事だよ。桜咲君」
しかし、そんな戯言など誰が信じるものかと思う。
それは全員同じ感想のようで表情が怒気に彩られていた。
「……そうですか。でしたら士郎さん、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ、桜咲…?」
桜咲、ですか…。懐かしい響きですね。
まだ出会った頃はそう呼ばれていた。
ですが!
「なぜ、私の事を『桜咲』と呼ぶのですか? いつも通りに『刹那』と呼んでください」
「ッ!」
それでケルベロスに乗っている子供が焦った感じを出し始めました。
もしや、本体はあの子供か…?
「あんたはニセモノや! だって、ウチとせっちゃんの士郎さんとの間で結ばれた仮契約カードはもう死んでもうてるんやから!!」
お嬢様が涙を流しながらカードを出した。
それで私も出した。
カモさんがそれを見て確信したのか。
「…ああ。確かにこりゃ死んでるっすね…」
「だから、あなたは偽物です! ですから引いてください。特にそこの子供…。私の自制心がまだ効いているうちなら痛い目は見ませんから」
「うっ……うるさい!」
そう言って叫んだ子供は私に向かって士郎さんと高畑先生の
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