第一部
Next Level
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勝ち。
なのだが後出しOKというルールなので弥以覇は手を変えてくるはず。
しかし紫闇は変える気が無い。
(このままグーか)
気は弥以覇に伝わっていた。
なので弥以覇は手を動かし始める。
紫闇はその一瞬に前へ出していない方の腕を振り上げ弥以覇に張り手を繰り出す。
当然だが格上で考えるよりも先に自然と技を出せる弥以覇にそんな真似をすれば考えるまでもないということを紫闇は百も承知だ。
手が触れる直前にゴキリと鳴る。
「ぐえっ!」
地面に叩き付けられた。
しかし狙い通り。
流石の弥以覇も手を変えながら技を極める器用なことは出来なかった。
なので互いの手は変わらない。
つまり紫闇はグーで弥以覇はチョキ。
「勝利への執念を認めよう。格上に対して勝つ為の拘りを捨てたこともの。搦め手しか方法は無かったじゃろうし。これで小僧の打心終天を覚える為の修練は完了じゃ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
弥以覇の合格宣言に紫闇は困惑する。
「でも……まともな勝ち方じゃないです」
「だからノーカンだって?」
焔の言葉に紫闇が頷く。
「安心せい紫闇の小僧。お主は焔に出された課題なんぞ、とうの昔に終えとるんじゃよ。ただ自分では気付いていないだけでの」
どういうことか紫闇には解らない。
なのでレイアが説明する。
「そもそもとして、私や弥以覇さんに勝とうって言うのが不可能なんだ。まともにやってたら焔であろうと勝てないしね。故に本当の課題はじゃんけんをやり続けて打心終天に必要な部分を鍛えることだったのさ」
つまり技の修得には弥以覇やレイアに勝つ必要は無く、既に紫闇は現時点で打心終天の技を使える状態に在るということ。
しかし焔に釘を刺される。
「勘違いしないように言うけどね紫闇。この一月間を『勝たなきゃいけない』想いを持って必死に課題へ挑んだからこそ君は必要な水準になれたんだ。甘えた気持ちだったら絶対にクリア出来なかったよ」
そこは紫闇も理解していた。
彼に運動する才能は無い。
ただ天才すら計り知ることが出来ない精神性から来る狂気と自身の夢への執念。
それらを以て黒鋼に課された地獄の修業を乗り越えて来たからこそ今が在る。
「紫闇は儂らに勝とうと悩んだ。これによって勝利を掴む為の思考と発想は十分に養われたであろう。これは本当に大切な要素なんじゃ。強き相手に挑むなら頭脳も勝敗を左右する。【夏期龍帝祭】を制した後、《江神春斗》を倒した先に居る者達にはそういう力が備わっておらんと戦えん」
弥以覇は顎に手をやり
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