暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第16話:最高のショー、その予約
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 そう考え訊ねると、奏は少し得意げな様子で颯人からの疑問に答えた。

「2年前からちょくちょく練習してたんだよ。颯人に逃げられないように、ね」
「変なもん覚えやがって、銭形平次かよ」
「こっちだって何時までも逃げられるのを指咥えて見てるだけじゃないんだよ。ただ今回は悪かった」
「そこはもういいよ」

 そこまで話して颯人は徐に額を冷やしていた缶を離し額に手を当て、コブが大分引っ込んだのを見るともう大丈夫と判断してプルタブを開けて中身に口を付けた。

 缶の中身を一気に全部煽ると、空になった缶をゴミ箱に放り投げる。投げた缶は綺麗な放物線を描き見事にゴミ箱に入った。

 ゴミとなった缶がゴミ箱に入ったのを見届けた奏は、颯人の額に手を伸ばして問題がない事を確かめた。その手付きから彼は奏が自分を本気で気遣ってくれている事を感じた。

「ん、もう大丈夫そうだな」

 奏が安堵の溜め息を吐く。その彼女の仕草だけで、本気で心配してくれているのが颯人には分かった。
 そんな彼女の様子に颯人は疑問を口にした。

「なぁ、そろそろ聞かせてくれてもいいんじゃないか?」
「何を?」
「奏が俺をどう思ってるのか。まだ告白に答えてもらってないんだけど?」

 ここでその問い掛けがされると思っていなかったのか、今度は奏が気を動転させた。

「んなっ!? ――んで今その事聞いてくんだよ!?」
「いいだろ? こっちはずっとお預け喰らってんだぞ。答え強請って何が悪い?」

 あっけらかんと告げてくる颯人に、奏は手を引っ込めそっぽを向いた。

 奏としては、彼の告白に応えるのは吝かではない。ただ、彼女とて1人の女、乙女である。愛の告白をするならそれ相応のムードが欲しい。
 少なくともこんなところでやっつけ気味に答えるようなことはしたくなかった。

「絶対答えない。答えて欲しかったらもっとムードを整えろ」
「じゃあせめて俺の事をどう思ってるのか教えて」
「い、や、だ!」

 意地でも答えない姿勢を見せる奏に、颯人はアプローチを変えた。

「それなら、ムードを整えたら答えてくれるんだな?」
「え?」
「今自分で言ったじゃん。ムード整えれば答えるって、そう言う事だろ?」

 自分の言葉尻を取られ、奏は顔を赤くしながら目を白黒させた。彼に付け入る隙を与えてしまった、己の迂闊さに頭を抱えたくなる。
 だがそれ以上に、彼が本気だと言う事が分かり期待している自分にも気付いていた。

 彼ならきっと、本当に相応のムードを整えた場所で告白してくれるだろう。
 何しろ彼はエンターテイナーとしての自分に誇りを持っている。場を盛り上げる事、人の心を沸かせることに関しては絶対に手を抜かない。

「よ、よし、分かった! アタシ
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