暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第16話:最高のショー、その予約
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「――――風鳴司令、翼さんの方そろそろお時間ですので」

 司令室の中央付近、ミーティングが行われているその場所で眼鏡をかけた慎次が弦十郎に声を掛けた。その表情は若干引き攣っている。

「翼さん、今晩はアルバムの打ち合わせが入っています」
「ッ! そうか、なら今日のミーティングはここまでだな。翼、行くといい」
「はい、それでは失礼します!」

 慎二は表の顔はツヴァイウィングのマネージャーを務めている。彼の登場でミーティングはなし崩し的にお開きとなり、翼は彼の後についてその場を立ち去っていく。

――――――のだが、その際の彼女の表情はどこか解放されたような、それでいてどこか名残惜しさを感じさせるものとなっていた。それはある意味で彼女だけではない。颯人と奏の2人を除いた全員が肩から力を抜き顔から緊張が無くなる。

 肝心の2人――――颯人と奏だが、2二人は互いに対照的な顔をしていた。まず颯人の方だが、彼は心底楽しそうな笑みを奏に向けている。

 問題は奏の方だ。彼女は何かを堪える様に、しかし隠しようのない怒りと屈辱に表情を歪めていた。その理由を理解しつつ、慎次と翼について行かない彼女に颯人はおちょくるような視線を向けながら問い掛けた。

「ん? 奏は一緒に行かなくてもいいのか?」
「…………今日は翼ソロの仕事だよ。あたしは別」
「それだけ?」
「──────ッ!?」

 理由など分かっているだろうに、それでも尚楽しむように問い掛けてくる颯人に遂に奏の堪忍袋の緒が切れた。

「こんな格好で外出られるかッ!?」

 そう言って奏は自身の服装を指差す。

 今の彼女の恰好は、いつもの私服ではなくメイド服となっていた。それもメイド喫茶などで見るような変にスカートの短いものではない。本場の貴族の屋敷に努めているような、決して華美ではなくスカートも長い本格仕様だった。派手さはないが、明らかにこの場どころか街中でも異質で目立つこと確実な恰好である。

 私服の中にチューブトップとホットパンツがある事から察することが出来るが、奏は露出の多い服を着る事に対しても抵抗が少ない。
 だが肌の露出の多い服と本格メイド服では話が別なのかかなり恥ずかしいらしく、顔を赤くしているがその理由は怒りだけでなく羞恥が入っていることは明らかだ。

 それを理解しているので、颯人は殊更に楽しそうな笑みを浮かべてメイド服姿の奏を眺めていた。

「だっつってもさ、元々は俺が食うなって言ったドーナッツを奏が食っちまったのが悪いんじゃねぇか。人の物勝手にとった罰だ、罰」

 決して間違ったことを言っている訳ではないので、颯人の言葉に奏は何も言えなくなってしまう。それでも諦めきれないのか、奏は抵抗を試みた。

「大体さっきのトランプ
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