第七十九話 呂蒙、陣を組むのことその十
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「何一つとしてな」
「切れ者と聞いている」
「それもかなりのだ」
嘉神と示現も話す。
「将軍の懐刀として董卓に狙われても仕方ないが」
「しかし失踪したとしてもだ」
それでもだと話していく。そうしてなのだった。
「その失踪の痕跡もない」
「足跡を調べられない」
「忍の連中総出で調べたんだけれどな」
今この世界には忍者も大勢来ている。彼等はそうしたことの専門家だ。しかしその彼等でもだ。司馬尉の足跡は何一つとしてだというのだ。
「こんなことははじめてなんだよ」
「おかしいですね。やはり」
楓がそこまで聞いて話した。
「それは」
「董卓殿と対立しているのなら」
雪も言った。
「私達に合流するのが妥当ですね」
「そうだ。ここに来ている筈だ」
「しかしそれもない」
嘉神と示現の顔に怪しむものが出ていた。
「都でのことは。どうにもだ」
「あまりにも謎が多いようだ」
「そしてその謎がそのままじゃな」
翁の目が再び光った。白の光を放つ。
「この世界の謎にもなっておるのう」
「闇に蠢いている」
嘉神も同じだった。その目の光を強くさせる。
「闇の奥深くにだ」
「そこに刹那もいる」
示現も話す。
「その他の者達もだ」
「何かあれだな。悪とかじゃないな」
ガルフォードもそう察していた。
「闇っていうかそんなのが今回の相手か」
「悪と闇は別物じゃ」
それを話す翁だった。
「また別のじゃ。別の目的で動いておるのじゃ」
「我々の相手は闇だな」
守矢が述べた。
「悪ではないか」
「悪は善の裏に過ぎん」
翁は悪をそう定義付けた。
「しかし闇はまた違うのじゃ」
「あらゆるものをその中に覆う闇か」
「そうじゃ。その闇が蠢いておるのじゃ」
そうした種類の闇だというのだ。
「善悪とは根本から違う」
「混沌ってやつか?」
ガルフォードは翁の話を聞いてこう問うた。
「考えてみればその刹那の常世ってのもオロチもアンブロジアもそんな連中だしな」
「そうじゃな。混沌じゃ」
まさにその通りだとだ。翁も話した。
「わし等の相手は混沌じゃ」
「根本からして我等とは相容れないもの」
「そうしたものだ」
嘉神と示現が再び話す。
「それとどう戦うか」
「倒していくか」
「それが問題なのだ」
「この世界のだ」
こうした話をするのだった。そしてだ。
先陣は順調に進んでいた。劉備が左右に尋ねる。
「もうすぐなのかしら」
「はい、最初の関がです」
「近付いてきています」
その通りだとだ。孔明と鳳統が劉備に答える。
「あと三日です」
「三日で関の前に来ます」
「そう。それなら」
その話を聞いてだ。劉備は意を決した顔になった。
そしてそのうえでだ。こう
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