第一章
[2]次話
負けたとしても
富田すみれは東京生まれの東京育ちである、だがまさに生粋の鯉女であり広島東洋カープを熱烈に愛している。
当然このチームの月刊誌を読みチーム関連のサイトの多くの常連でありかつ自分でも本格的なサイトを持っている。
とかくカープ一筋だ、だが。
負けてもだ、すみれは言うのだった。
「残念だけれどね」
「それでもよね」
「ええ、負けてもね」
家で母にも話す、見れば年齢程老けた感じはなく上品な服装と髪型、そしてメイクである。お嬢様然としたすみれとは違い貴婦人という感じである。
「それでもね」
「いいのね」
「順位は大事だけれど」
それでもというのだ。
「カープを応援出来たら」
「それでいいのね」
「そう、本当にね」
実際にというのだ。
「まずはそれが第一よ」
「それで去年四位でもなのね」
「まだいいの」
こう言うのだった、家の中で飼っている愛犬、パピヨンに餌をやりながら。
「応援出来たら」
「毎年優勝出来なくても」
「それね、だって三連覇の前は」
それこそというのだ。
「殆どBクラスでね」
「それでっていうのね」
「マイナーとかね」
すみれはさらに話した。
「赤貧球団とか」
「酷い仇名ね」
「カープがお世辞にもお金ないのは事実だし」
すみれはカープの困ったところも認めている、そのうえでカープを愛している生粋の鯉女であるのだ。
「それでインターネットだとね」
「そう書かれるの」
「5ちゃんねるだと」
「あそこは酷いこと普通に書かれるわね」
「もうプロ野球板なんかね」
当然カープも扱われている。
「凄いから」
「そんなに酷いの」
「その5ちゃんの中でね」
酷いと評判のこの掲示板群でもというのだ。
「屈指の無法地帯よ」
「そうなのね」
「だからそうも書かれれるの」
赤貧球団と、というのだ。
「そうもね」
「それで貴女はそれでもいいの」
「そんなこと書かれても笑える位でないと」
それこそというのだ。
「カープの応援出来ないわよ」
「そうなのね」
「本当にずっとBクラスで」
順位はそうで、というのだ。
「赤貧とか広島ローカルとかね」
「そう言われていたからなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「もうね」
「負けてもかなり酷いこと書かれても」
「笑って終わらせてね」
「それでなのね」
「応援していくのよ」
「そうしていくのね」
「カープでそんなこと言ってたら」
すみれは母にこうも言った、家の中の服装は白く丈の長いワンピースで育ちのよさがそのまま出ている。
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