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東京の鯉女
第五章

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「テレビ点けたらね」
「試合やってて」
「それを観て」
「それでなの」
「赤い帽子やヘルメットが印象に残って」
 カープの代名詞である赤いそういったものがというのだ。
「お母さんにそのチームの名前聞いたら」
「カープで」
「記憶に残ってなの」
「そこからカープファンになったの」
「そうなの、本当にたまたまで」
 その試合をテレビで観てというのだ。
「ファンになったの」
「試合の相手何処だったの?」
 先程とは別の同僚がそのことを尋ねた。
「それで」
「ええと、巨人だったかしら」
「相手のことは覚えてないの」
「ちょっとね」
「そうなの」
「テレビの野球って巨人多いから」
 親会社がマスコミであるからだ、これが国民を洗脳に悪に染めていくことを考えると実にテレビは恐ろしい。
「多分ね」
「そうだったの」
「それでその試合を観てなのね」
「カープファンになったのね」
「確か七歳かそれ位だったわ」
 その試合を観た時はというのだ。
「多分ね、それでね」
「その時からなのね」
「すみれちゃんカープ応援してて」
「今に至るのね」
「正直優勝とかね」
 このことはというと。
「ずっと応援していても無縁だって思ってたわ」
「カープってずっと地味だったしね」
「順位はそうだったわよね」
「Bクラスばかりで」
「クライマックスにもそう出なくて」
「そうだったから」
 それでというのだ。
「優勝はね」
「そのことはなのね」
「無縁だって思ってたのね」
「そうだったのね」
「そうだったの、けれどね」
 すみれは表情を明るくさせて話した。
「優勝したしね」
「しかも三連覇ね」
「あれは凄かったわね」
「貫禄の優勝って感じで」
「日本一にはなれなかったけれどね」
 すみれは自分からこのことを話した。
「それでも嬉しかったわ」
「まあそれはね」
「日本ハム強かったしね」
「ソフトバンクも」
「横浜には元々相性悪かったし」
「シリーズは流れもあるし」
「仕方ないところもあるわ」
 同僚達はすみれにこう言って慰めた。
「三連覇だけでも凄いわよ」
「それだけでね」
「また今度ね、日本一は」
「それを目指しましょう」
「そうね、また若手育成して」
 そしてというのだ。
「戦力整えてね」
「そうしてよね」
「優勝目指すのね」
「そうするのね」
「ええ、去年はしっくりいかなかったけれど」
 四位に終わったがというのだ。
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