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ドリトル先生の林檎園
第十一幕その十二

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「これから」
「いいんじゃない?」
「それもね」
「最後の思い出にね」
「長野県を後にする時に」
「その時に」
「僕もいいと思うよ」
 王子も笑顔で答えてくれました。
「先生がそうしたいならね」
「いいんだね」
「うん」
 笑顔で答えてくれるのでした。
「それでね」
「じゃあね」
「そうですね」
 トミーも言ってきました。
「最後には」
「長野県の思い出にね」
「いいですね」
「お蕎麦と林檎をね」
「楽しんでそして」
「満足してね」
 そのうえでというのです。
「神戸に帰ろうね」
「そうしましょう」
「皆でね」
「それでね」
「長野県を後にして」
「神戸でもね」
「楽しく過ごしましょう」
「是非ね、本当に長野県のお蕎麦と林檎は美味しいよ」
 先生もすっかり魅了されています、この二つに。
「だから最後にね」
「黒いお蕎麦と赤い林檎をですね」
「両方食べようね」
 トミーにも言いました。
「是非ね」
「そういうことでですね、ただもう今の僕達は青い林檎は」
「主流じゃなくなってきているね」
「赤いものがそうなってきていますね」
「日本に来てね」
 すっかりと言う先生でした。
「そうなっているね」
「そうですよね」
「これも日本とイギリスの違いだね」
「小さな違いですけれど」
「このこともまた違うからね」
「頭に入れておくと面白いですね」
「そうだね、そういえば日本の歌でもあったよ」
 ここで先生が出した歌はといいますと。
「赤い林檎にって」
「終戦直後の歌ですね」
「あの頃の日本は食料不足だったけれど」
 敗戦の物資不足の中で食べものもなかったのです。
「けれどその中で林檎だけは沢山あったそうで」
「その林檎の歌にもですね」
「赤いとあるからね」
「日本では林檎はね」
「赤が主流ですね」
「そうだよ、そしてその赤い林檎を」 
 最後の最後にというのです。
「食べようね」
「そうしましょう」
 トミーは笑顔で応えました、そしてでした。
 皆は長野県を発つ前にお蕎麦と林檎を楽しむことにしました、長くて色々とあってとても楽しかった旅の最後に。
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