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ほのぼのなふたりの甘い日々

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 "お揃い"に、こうも心が満たされるなど考えもしなかった。ところが半同棲状態の今、二人で共有できそうなもの以外は凡そ色違いのそれで統一されている。まさか自分がと両者共に首を捻っていたものの、洗面台の鏡に映る寝癖まで似通った互いの姿に安堵すら抱くようになろうとは。

「ぷろと、おはよー」
「おう、おはようさん」

 仲良く並べられたオレンジと青のブラシとコップを各自手に取り、歯磨きタイムが終わる頃になってようやく女が完全に目を覚ます。交互に洗顔した後、恋人の毛繕いをじっと眺めていた男が無言のままに細い身体を手元へ囲い込んだ。

「あー、いいな、これ」
「うわっ、今からミストかけるとこだっ、やめ! ちょっとクー、匂い嗅がないで!」

 女の抵抗など何のその。気にせず襟足に鼻をすり寄せ、やがて腕の中で大人しくなる頃合を見計らい、リビングへ連行するのが休日朝の一景だ。

「あっ、跡付けるのなし!」
「いつもの髪型なら見えねえって」
「もう……や、こら、増やすなー!」

 犬の肉球がワンポイントになっているパジャマのまま、くすくすと笑い合うひととき。ささやかな触れ合いがこれほどにも穏やかなものだとは思いもしなかった二人は、時を同じくして腹の虫が鳴き出すまで幸せそうにじゃれていた。




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