第二章
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「重く暗い空の時期が」
「長いですしね」
「寒さも」
これもというのだ。
「平地で遮るものもないし」
「風がガツンときますね」
「これも酷いからな」
「そうそう、ドイツ全体が」
「そして料理も」
「今じゃドイツでも普通にイタリア料理食べてますけれどね」
「僕もだよ、しかし」
それでもというのだ。
「本場のものは違う」
「本場のイタリア料理は」
「そして景色がいい」
これもというのだ。
「歴史的な遺跡まで多い」
「本当に何時でも一緒にいたい国ですね」
「そのイタリアにまた行けると思うと」
それこそというのだ。
「僕は上機嫌なんだよ」
「そういうことですね」
「そうだよ、じゃあ」
「行ってきますね」
「そうしてくるよ、ただ」
「ただ?」
「暫く牡蠣は食べない」
クライストはここで後輩にこのことも言った。
「イタリアでも」
「ああ、この前仕事休んだのは」
「牡蠣にあたってだから」
それでというのだ。
「もうね」
「暫くはですね」
「いいよ」
こう言うのだった。
「当分の間は」
「じゃあ牡蠣以外のものを」
「楽しんでくるよ」
「そうされてきますね」
「是非ね」
「それじゃあ」
「行って来るから」
こう言ってだった、そのうえで。
クライストはイタリア旅行に行った、そのうえで。
イタリアに入ってだ、まずはパスタを食べに行った。そして店に入り色々な種類のパスタを注文したが。
少し離れた場所から日本語が聞こえてきた、みれば日本人と思われる女性達が自分を見て話している。それを見てだ。
クライストはドイツ語で店員に尋ねた。
「ドイツ語わかるかな」
「はい、多少は」
若い店員は彼にこう答えた。
「わかります」
「それは何よりだね」
「ドイツからの方も多いですから」
だからだというのだ。
「わかります」
「それじゃあ日本語は」
「私大学生ですが」
ここからだ、店員はクライストに答えた。
「大学は日本語学科です」
「そうなんだね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「日本語は悪魔の言語と呼ばれています」
ここでこのことを言うのだった。
「ですから実はドイツ語の方が」
「得意なんだ」
「もっと言えばスペイン語とフランス語は多少どころか結構」
「同じラテン系の言葉だからだね」
「スペインに旅行に行っても大体やっていけました」
「母を尋ねて三千里の様にだね」
「いけました、ドイツの方の言葉はよく来られるので」
このイタリアにというのだ。
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