第二章
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「薙刀や、そして」
「鉞もな」
「使います」
「僧兵だと金棒や槌も使うな」
彼等も薙刀を使う、そしてこの僧兵達が滅法強いのだ。
「左様であるな」
「はい、ですが」
「武士ならばな」
「そうしたものは使いませぬ」
「お主は武士であるからな」
「刀と弓矢で戦いまする」
あくまでというのだ。
「子供の頃はともかく」
「あの頃は実際に鉞を持っておったな」
「はい」
実際にという返事だった。
「それは」
「そうであるな、あの頃はな」
「祖母殿に育てられていまして」
「山姥であったな」
「実は」
言われている通りにというのだ、金時は幼い頃山姥に育てられて怪力を備えたと言われているがそれは事実だというのだ。
「その時にはです」
「熊に乗ってであるな」
「鉞を持って山で暮らしていました」
「そうであるな」
「ですが」
「今のお主は違うな」
「武士になりましたので」
それ故にというのだ。
「あくまで、です」
「刀や弓矢で戦いな」
「鉞等はです」
決してというのだ。
「使いませぬ」
「そうであるな」
「それが今のそれがしです」
「そしてそれをであるな」
「子供達にも言えます」
自分を慕う彼等にもというのだ。
「恥ずべきことは何もないので」
「武士としてな」
「左様であります」
「その言葉確かに聞いた、ならな」
「はい、それならば」
「お主の口から言うのじゃ」
子供達にというのだ。
「よいな」
「そうさせて頂きます」
金時は頼光に確かな声で応えた、そしてだった。
彼は子供達に何故鉞を使わないのかと聞かれた時に笑って答えた。
「それはそれがしが武士になったからだ」
「武士になったから?」
「それでなんだ」
「もう鉞使わないんだ」
「坂田様はそうするんだ」
「そうなのだ、武士は刀と弓矢を使うもの」
こうしたもので戦うというのだ。
「それ故に」
「鉞はもう使わないんだ」
「坂田様っていうと鉞だけれど」
「それでもなんだ」
「そうなのだ、そして熊にも乗らなくなった」
金時はこのことは自分から話した。
「それもしなくなった」
「熊にも乗らないんだ」
「やっぱり坂田様っていうと熊だけれど」
「鉞と一緒で」
「それもなんだ」
「そうだ、武士が乗る者は馬」
これだというのだ。
「熊ではない」
「だからなんだ」
「それでなんだ」
「熊にも乗らないんだ」
「武士だから」
「武士は色々と決まりがあってな」
それでというのだ。
「今のそれがしは違うのだ」
「刀と弓矢を使って」
「馬に乗って」
「鉞は使わないで」
「熊に乗らないんだ」
「そのことはわかっておいてくれ」
こう言うのだった、そのうえで。
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