TURN30 左遷その十
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ことして言った。
「悪人じゃないのよね」
「むしろ明るくて楽しい善人だな」
「どう?イタリンとの同盟のことは」
「これからも継続したい」
あまりメリットがないように思えてもだった。レーティアはこの選択肢しか選ぶつもりはなかった。
「ドクツとしてな」
「提督達も祖国君達も同じ考えだからね」
ドイツもだ。何だかんだ言ってだ。
「安心していいわ。祖国君ちょっと来て」
「何だ?」
呼ばれてすぐにだった。そのドイツが来た。国家である為自分の国の中では自由に行き来できるのだ。それ故にすぐに来たのである。
「呼んだか」
「ええ。祖国君はイタちゃん達をどう思うかしら」
「困った奴等だ」
実際にそうした顔になり目を閉じてだ。ドイツはこうグレシアに答えた。
「弱いにも程がある。いい加減だしな」
「それでも嫌いかしら」
「いや、嫌いではない」
ドイツも正直に答える。
「むしろ好きな方だ」
「ほらね。祖国君もこうでしょ」
「わかりやすいな、実に」
レーティアも言う。そのドイツを見て。
「祖国君はイタリア君達と昔から親交があるからな」
「そうそう。お友達だからね」
「そのことは否定しない」
ドイツもだった。イタリアについてはこう言うのだった。
「目を離せない奴だ」
「不思議だな、イタリンは」
レーティアは自分の執務机で首を振りさえした。
「あれだけ弱く困るがそれでも嫌いになれない」
「愛嬌があるのよ。無邪気で」
「そうだな。ではこれからもな」
「ええ。あの総帥さんともイタちゃん達ともね」
「仲良くやっていこう。祖国君もそれでいいな」
「無論。異論はない」
ドイツはドクツの敬礼で応える。三人は誰もイタリアを嫌ってはいなかった。むしろ親しみを感じながらだ。彼等との同盟を大切にしていくのだった。
TURN30 完
2012・6・8
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