第7章:神界大戦
第231話「終わる世界」
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と思いですか!?」
空間の一部に罅が入っていく。
それを見ながら、イリスは嬉しそうに笑っていた。
「は、ぐ、ぅぅ……!」
複数人で張った結界。
その中で、緋雪は苦しそうに胸を押さえていた。
「……ダメね。中断よ」
「はぁっ、ふぅっ……きつい、なぁ……」
椿が中断するように言い、緋雪は脂汗を滲ませながらもその場に座り込んだ。
「もう少し抑えててね」
「うん……!」
とこよと紫陽、椿の三人で緋雪に霊術を掛ける。
今、緋雪は吸血衝動の完全制御を試みていた。
しかし、今の所上手く行かず、何度も精神安定化の霊術で中断していた。
「やっぱり、他の方法で強くなった方が……」
「ダメだよ。狂気……心や精神において明確な弱点があると、そこを突かれた瞬間私は負けてしまう。それだけは避けたいんだ」
精神や意志が不安定になるというのは、神界において致命的だ。
不安定になる衝動や感情に関する“性質”でもない限り、“領域”が揺らいでしまう。
「……それに、神界の戦いは“領域”をぶつける戦い。直接的な戦闘力を上げた所で、そこまでプラスになる訳じゃないよ。……効果があるのは、破壊の瞳ぐらいだね」
「狂気を破壊するという手段は?」
「試そうと思ったよ。でも、途中で無意味って気づいたんだ」
今の緋雪なら、確かに狂気を破壊することも不可能ではない。
しかし、緋雪はそれをしても無意味だという。
「私に狂気を持っていた記憶や過去がある限り、完全になかった事にはできない。……私も、過去の記録を全て消し去る事は出来ないからね。……そして、記録が残る限り、そこを干渉されれば結局変わらない」
「……なるほどね。考えてみればそうだわ」
概念を破壊出来るようになったとはいえ、過去の事象を破壊する事は出来ない。
力の限界がなくなった今、それも不可能ではないが実現はまだ無理だ。
「んー、何気に、あたし達みたいに直接戦ったり、あたし達から詳しく事情を聴いた人達以外がまずいんだよね」
「神界の神相手に、普通の考えでは戦えない。……それがどういう事なのか、ちゃんと理解されていないってことね」
神界での戦いから、既に一週間が経過している。
その間に管理局も態勢を整えていたが、如何せん心構えがずれていた。
戦闘の中心にいた者や、戦いについて詳しく聞いた者以外は、未だに単に“強大な敵”としか認識していない。
相手が、こちらの法則を無視してくる事を、どういう事か理解していないのだ。
「普段は頭が固いクロノも、理屈で考えないようにしているというのに……」
「こればかりは、ぶっつけ本番しかないだ
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