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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第15話:見抜かれる者
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すだけで嫌な思いになるけど、颯人は……アタシの希望は今ここに居る。そう思えば、嫌な思い出だって乗り越えられるんだよ」
「え、あ、そう……」
自分の事をじっと見つめてそんな事を告げる奏に、颯人は一瞬自分の耳を疑った。
奏がそんなことを自分から口にするとは思ってもみなかったのだ。
何時も口先手先で奏を翻弄する側だったので、思わぬ奏からの天然の反撃に珍しく気が動転してしまったのである。
らしくなくドギマギする颯人だったが、それでも流石にマジシャンとしてポーカーフェイスを鍛えていただけに、その内心を奏に悟られるようなヘマはしなかった。残された理性と表情筋を総動員して見た目だけでも平常を保って見せた。
もしここで表情を少しでも変化させていたら、すかさず奏が鬼の首を取ったように攻め立てるだろう。
尤も、平常を保てたのは表面だけで心の方はまだ動揺しまくりだったが。
「ん? 颯人?」
「んあっ!? 何っ?」
「何? はこっちのセリフだよ。どうした、急にボーっとして?」
「いや…………な、何でもねぇよ。ちょっと色々考えすぎて、脳が糖分不足になっちまっただけだ」
〈コネクト、プリーズ〉
話題を強引に変えるべく、颯人は少し離れた所に置かれているマスドの箱を魔法で引き寄せた。今朝、司令室の者達への差し入れとして持ってきた奴だ。
これには当然奏や翼、響達の分も入っている。
「ちょいと休憩しよう少なくとも翼ちゃんと響ちゃんはまだ食ってないだろこれ」
まだ動揺が抜けていないのか早口になる颯人に奏は疑問を感じたが、彼女にとってそれはどうでもいい事であった。
颯人が箱を開けるのを、奏は近くでほくそ笑みながら見ていた。颯人と翼、響以外は知っている。あの中に、颯人が自分用に買ったやつが入っていないことを。
期待に胸を膨らませる奏の視線と、呆れを滲ませた弦十郎達の視線を受けながら颯人は箱を開け――――――その中身を見た瞬間動きを止めた。
「…………おい、奏」
「ん〜? 何?」
突然動きを止めた颯人に何事かと注目していた翼と響。事情を知らない2人を余所に、颯人は低いトーンの声で奏に声を掛けながらゆっくりと彼女の方に顔を向けた。その颯人の様子に、奏はこみ上げる笑いを抑えきれないのか声を弾ませる。
「お前、俺が食うなよっつったドーナッツ食べただろ?」
「知らないよ、そんなの。最初から入ってなかったんじゃない?」
「ほほぅ――?」
飽く迄も白を切る奏。颯人の言葉と奏の様子から何があったかを察して翼は思わず額に手を当て溜め息を吐いた。今日は珍しく奏が反撃しているようだが、正直に言わせてもらえば下らない争いとしか言いようがなかった。
だがそれは飽く迄も外野から見た様子であ
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