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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第15話:見抜かれる者
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国家間で色々と複雑な足り鳥などがある事を話し合っていたが、それ以上に颯人が気になったのはノイズの発生に何者かの作為が働いているかもしれない、と言う事であった。

 思い出すのは5年前、奏が家族を失い颯人が奏と別れる切っ掛けとなった遺跡での惨劇だ。
 二課に協力する事になってから知った事だが、あの時の遺跡にも聖遺物があったらしい。

 完全聖遺物が保存された二課本部周辺で頻発するノイズの発生と、聖遺物の存在する遺跡に発生したノイズ。これは果たして偶然だろうか?

 その事に対し疑問を抱き、1人悶々としていると奏がそれに気付き声を掛けてきた。

「どうした、颯人? 考え事か?」
「ん? あぁ…………奏さ、5年前の事、どう思う?」

 5年前……奏にとっても当時の事は忌まわしき過去なのか、颯人の口からその言葉が出た時奏は露骨に顔を顰めた。
 それを見て、颯人は己の言葉が軽率だったと気付き口を噤んだ。

「……悪い。迂闊だった。今のは忘れてくれ」
「いや、もう大丈夫だよ。それで、5年前がどうしたって?」
「もし……もしも、だ。あの時出たノイズも、誰かが遺跡にあった聖遺物を奏の親父さん達に取られないように誰かが(けしか)けたものだったら…………どうするよ?」

 颯人からのその問い掛けに、奏はすぐには答えなかった。顔から表情を消し、何処とも知れぬ虚空をじっと見つめていた。

 答えを返さぬ奏を、颯人は急かすことなくじっと見つめる。

「颯人は、あれも誰かの仕業だって思ってるの?」
「確証はねえよ。ただ、人気が多くない所にノイズが出たって話はあんま聞かないから、あんなところに出るなんざ余程の偶然か誰かの作為が働くしかないって思ってさ」

 自分で言っていて、だんだんと颯人の心にはどす黒い感情が渦巻き始める。
 もし本当に5年前の出来事が誰かの意思によるものだとしたら、颯人はその相手を絶対に許すことは出来そうにない。
 そいつの所為で、奏は心に傷を負い命を危険に晒す戦いに身を投じることになったのだ。その報いを受けさせねば気が済まない。

 彼も気付かぬ内に拳を握り締め、掌に爪が食い込むほど握り締める。

 その握り締められた拳に、奏がそっと手を乗せた。

「ッ!?」
「何でお前がそんなに怒ってんだよ?」
「いや……別に……ってか、奏はいいのかよ?」

 普通に考えれば奏がもっと怒りを見せてもいい話の筈だ。にも拘らず、彼女は微塵も怒りを感じた様子を見せない。
 あの時の事を完全に整理を付けた訳でもないだろう。
 だというのに何故?

「勿論、アタシだってあの時の事を完全に整理つけた訳じゃないよ? ただ、それでも今は颯人が居てくれるだろ?」
「――――え?」
「あの時の事は今でも思い出
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