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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第15話:見抜かれる者
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ゃないと使えない方法だけど、魔力の受け渡しで回復するって方法もある」

 そう言いながらハンバーガーは既に三個目を食べ終え、四個目に突入していた。この時点で少しは魔力も回復してきているのか、先程よりは目もしっかり開いている。

 魔力に余裕が出来てきたからか、徐に颯人は四個目のハンバーガーを食べながら奏に紙袋を差し出してきた。目が食べるか? と訊ねている。既に朝食は済ませているが、折角だしと奏は一つ貰い齧り付いた。

 奏が取り出したのが最後の一個だったのか、颯人は紙袋を片手で器用に潰すと再びコネクトの魔法で今度はゴミとなった紙袋を魔法陣の向こうに突っ込み代わりにマスドの箱を取り出した。

「ほいこれ、今日のお土産」
「あら、何時も悪いわねぇ」
「な〜に、いいって事よ。さて、目も覚めてきたし、腹ごなしも兼ねて少し体動かすかな」

 了子が箱の中身を物色する傍ら、颯人は軽く体を伸ばすと本部内のシミュレーターに向かうべく司令室を出ていった。奏もついて行こうか迷ったが、まずは今後の予定や情報などをチェックしようとソファーに座り端末を取り出そうとする。

 その時、不意に先程の元気のない颯人の姿を思い出した。思えば記憶の中の彼は何時でも元気だった気がする。奏の記憶にある中で颯人に元気がなかったのは、彼の両親が事故死した後と、五年前の遺跡での事件で大怪我を負っていた時くらいではないだろうか。

 思えば随分と珍しいものを見た気がする。

――にしてもあれだな。元気のない颯人って、まるで種の無いスイカみたいだな…………どんな例えだ?――

 ふとした瞬間に浮かんだ意味不明な例えに、内心で自分の感性に疑問を抱きつつ、近くのソファーに向かい歩き出し――――――

「あ、そうそう言い忘れたてけどさ」
「ヴァァァァァッ!?」

 出し抜けに目の前に90度真横に傾いた颯人の頭だけが現れ、洒落にならない叫び声が奏の口から飛び出した。その悲鳴に司令室に居た者が全員そちらを見て、颯人の首だけが浮いている光景に更に数名が悲鳴を上げた。

 対する首だけとなった颯人本人は、幽霊でも見たかのような顔をしている奏に今の自分がどういう風に見えるかを考えたのか少しだけ申し訳なさそうな顔をした。

「あ、ごめん。ビックリした?」
「心臓止まるかと思っただろうがッ!? 何考えてんだッ!?」
「いや、この方が早かったからさ」
「お前は……はぁ。ったくもう、それで? 何?」

 殆ど悪びれた様子も見せずにいる颯人に、奏はこれ以上文句を言っても無駄と悟りさっさと用件を聞き出そうとした。
 今彼がどこにいるかは分からないが、首が繋がっている魔法陣の向こう側はこちらとは逆に首無しのデュラハン状態となっている筈だ。何も知らない職員がその光景を見
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