30 夏のプール授業
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今年の梅雨は続く。だが、雨が一旦休止すれば晴れるが、これもまた大変である。何しろ雨水が浸透された地面から日射によって水分が蒸発していく。そうなると、湿度が非常に高くなり、汗もかきやすく、それによって体力を奪われる人も多いのだ。
7月の初めとなり、久々に3日続けて晴れた。三河口が通っている高校はやっとプールの授業が久々にできるのだ。
「プール久々だな」
三河口のクラスメイトである濃藤がそう呟いた。
「俺、どうせ雨だから海パン持ってこなくてもいいか思ったがな」
北勢田はそう言った。
「そしたら晴れた日にプール入れないじゃんよ」
濃藤はそう突っ込んだ。
「だな」
「ちなみに俺は海パンを予め先週のうちに持っていったよ」
三河口が言った。
「そこまでするのか?」
「ああ、俺小学生の頃、すぐ忘れ物するからね、こっちに来てからら念入りに準備しようとしてんだ」
「小学生の頃、ね・・・」
濃藤と北勢田は三河口自身が小学生の頃までは実家暮らしだったとは聞いていたものの、清水に移住した理由は二人にとっては訳の分からないものだった。本人の話では三河口は小学生の頃、不良で学校からかなりの問題児とされた為、半ば強引に実家のある町から追い出される形で親戚の家へ居候になったと聞く。また、三河口の実の親は本気で息子を少年院に引き渡す事も考えていたという話もあるらしい。
だが、今の彼にはそのような素行の悪さは見られない。むしろ好少年だった。
プールの授業はこの日は準備体操をして、その次にクロールで一班五人のリレーをやる。リレーの班はホームルーム中にくじ引きで決めていた。体育は通常は男女別にやるのだが、この水泳に限っては男女合同だった。
三河口は濃藤や北勢田とは別の班だった。
「あ、三河口君も一緒なんだ・・・」
三河口に話してきたのはクラスの女子、徳林奏子だった。
「ああ、奏子ちゃん」
「それじゃあ、始めるぞ」
体育教師の声で始まった。奏子は最初に泳いだ。そして二人目、三人目と続き、そして三河口は四人目だった。その三河口の泳ぎはとても早い。マグロの泳ぎのようにスイスイ進む。そしてアンカーにバトンタッチ。6班ある中で最初は5番目だったが、三河口の泳ぎの速さで結果は2番目だった。
「三河口君、凄い速かったね・・・」
「ああ、泳ぐの好きだからね」
奏子は三河口に話しかけたくて、質問した。
「そうなんだ・・・」
その後、授業は続いた。
かよ子の小学校でもプールの授業だった。この日はまずビート板で泳いでいた。大野と杉山が泳ぎを競い合っている。
(す、杉山君・・・)
かよ子は杉山の泳ぐ姿に見惚れていた。
「ねえ、ねえかよちゃ〜ん」
不意にまる子から呼ばれた。
「え!?ま、まるちゃん!!
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