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君と過ごす夏

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 雲ひとつない青空の下、額から流れ落ちてくる滴を拭いながら、キャンパスの敷地一杯に広がるテントを見渡す。木陰で涼んでいようと再び垂れてくるため些か鬱陶しいが、学生や客で賑わう熱気も眩しいくらいの晴天も嫌いではなかった。

「おまたせ。やっぱ暑いね」
「夏だからな。んじゃ回ってくか」

 手を差し出せば、照れ混じりのはにかんだ笑みが可愛くて思わず軽いキスを一つ。お互いラフな格好ということで彼女の露出が気懸かりだが、まあ本日は見せびらかしてやろう。オレのだってな。
 繋いだ掌も時折触れる腕も熱い。それでも離してやる気が起きないのは、他の男達を牽制したいだけではなく、単にオレも祭りに浮かされているんだろう。

「ねえプロト……クー」
「おう、どうした?」
「来年の夏もさ、こうして一緒にいようね」

 楽しそうな表情の奥に薄っすらと懇願が覗いている。そんな顔をしなくとも、逃がす気はさらさら無い。そう伝えるのはまだ先を予定している。
 勿論だ、彼女の耳へはっきりと肯定の返事を吹き込み、自分より僅かに低い温度の肢体を抱きしめる。べたべたするからと慌てた声も周囲の囃し立てる雑音も無視して、じわじわと混ざり合う汗の感覚を追い、悦に浸った。
 
 
 

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