第7話 飲み会
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ると肩に乗った重みがふっと消えた。
「や、やめろ! チンピラども!! みほさんに手を出すな!!」
ガクガクと震える足を必死に抑えながら私の前に立っていたのは河野さんだった。一瞬唖然とした表情した女たちだったが、すぐに全員がゲラゲラと笑い出した。
「あっはは!なんだこの男!しっし、女3人に勝てるわけないだろ、すっこんでな。お前には興味ないんだよ」
「ちょ、ちょっと!河野さん!? 何してるの!?」
「もうこれ以上迷惑かけられません」
「迷惑って...あなたじゃ無理だよ! 私のことは気にしないで、ね?」
必死に勇気を出してくれている相手をここまで真っ向から否定するのは辛いが、これも彼のためだ。だいぶ酔いも冷めてきてるみたいだし、とりあえずは逃げてもらって...
「嫌です、友達を...仲間を見捨てることなんてできません!」
会ってから初めての否定の言葉。だがなぜかその瞬間、黒森峰にいた頃の自分が重なった。
その言葉に呆然としている私を置いて、勇敢にタックルした彼の頭はチンピラの一人の腹に思い切り当たった。
「ってえな! 男だからって容赦しねえぞ!?」
少しは効いたようだがやはり男の非力さではどうしようもなかったようで、即座にカウンターをくらいうずくまる彼。だが、すぐに起き上がり必死に足にまとわりつく。『仲間を見捨てられない』その言葉が頭で反復する。
(そうか...この子から目が離せない理由って...)
ーーーー(別視点)
いつしか失神していた俺が目を覚ますと、横たわる3人のチンピラを尻目に誰かに膝枕をされていた。愛おしそうに俺を眺めていた彼女の目からは涙の粒がポタポタ流れ、自分の顔に垂れていた。
「よかった...本当に良かった...」
消え入りそうな声で自分を包む。それが誰なのか、全く状況もつかめないまままた俺は深い眠りにつくのだった。
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