脱出劇に神の加護を
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感。それはマスキッパのツタがわたしを捕まえたからじゃない。
ツンデツンデの『サイドチェンジ』が、わたしの居場所をツンデツンデの本体がいる場所に飛ばしたからだ。
ある程度ツンデツンデの本体が近くにいないと使えないから、そこまでは全力で走るしかなかったから……本当、ギリギリのところで間に合った、みたい。
あの女の人は突然消えたわたしに驚いているだろう。付いてきてくれた護神の子には申し訳ないけど……今はまだそんなこと考えてる場合でもないらしい。
「……みんな、お待たせ!レイ、出てきて!」
ツンデツンデの居る場所、つまりボールのすぐ側にワープしたわたしの目の前には奪われたモンスターボールが全て揃っていた。真っ先にそれを身につける。
黒い煙突のような体がわたしの後ろに控える。わたしの目とたくさんの瞳が、同じ部屋にいるわたしを捕まえた人──ルビアを見据えた。
ルビアは心の底から信じられないというように、わたしを捕まえようとするでもなくあっけに取られている。
「……驚いた。怪盗といっても眠らせとけば普通の子と変わらん思ってたんやけど」
【スズの言ったとおりでしょう? あの子は囚われのお姫様になんかなりませんって」
「キュービも似たようなこと言うし、坊も捕まえたいうても信じてくれへんしなあ。結局、うちの独り相撲やったんかな……」
サフィールは、ここに来ていないらしい。わたしが捕まったことを信じなかったのは嬉しいけど、裏切ってしまったような気もした。
「どうやって、どうやって目を覚ましたん?眠る前に何か仕込んだんかなあ」
「正直に教える必要があるかしら?スズ……心配かけて、ごめん」
【ラディなら諦めたりしないって信じてましたとも。予想より数時間早かったですけど】
スズの声はルビアの胸元から聞こえる。そう、数時間。目が覚めてから必死に脱出したとはいえ、目を覚ましたのは、ただの偶然のはず。
『……ひゅううん!』
その時。部屋の中にまた突然オッドアイの女の子が現れた。
まるでルビアからわたしを守ろうとするようにルビアを睨んだ。わたしが突然消えたからルビアのせいだと思ってるのかもしれない。
「ああ、そうか。ふふ、あの子らしい……やっぱり、うちのやることはままならんなあ」
よくわからないことをつぶやいて、ルビアが胸元からスズの入ったスマホを出し横の机に置く。
「……もうお帰り。うちはもうお嬢ちゃんに何もせん。お役目、せいぜい頑張り」
「なに、それ。ふざけてるの」
……彼女の目は、わたしのことを見ていなかった。いや、言葉すらわたしよりも護神に言っているように聞こえる。
バトル中はあんなに執拗に捕まえようとしておいて、ぞんざいに過ぎる。
わたしをチラリと見たルビアは
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