脱出劇に神の加護を
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ら飛んでくるものを避けるなんて、映画や本の中の怪盗みたいなことはわたしにはできない。
だから、できることは何でもしよう。わたしの力が足りないなら、こだわりは捨てて何が何でも怪盗としての使命、予告状を果たそう。
クルルクみたいにできないのは残念だけど。怪盗としてここに来たと決めたんだから──
「来て、メタグロス!!」
懐に忍ばせておいたカードを引き、鋼の体を持った巨体を呼び出す。飛び来るムチを、技を使うまでもなく弾き飛ばした。
「ちょっ、カード持ってたんですか〜?」
「こんなこともあろうかと、隠し持ってたのよ!」
少し胸が痛む。嘘だ。本当は、アローラからきた人間としてできるだけリゾートの力を借りたくなかった。第一予選に負けて落ち込んでたところをクルルクがカードで遊びに来て、それをお守り代わりに何枚か持ってただけだ。だけど余計なことに拘っていられない。とにかくレイのナビ通り走る。
メタグロスとロゼリアじゃ力の差は明らか、一般のスタッフがそこまで強いとも思えないしこれで……
「まったく手間を……みなさ〜ん、ちょっとそこの廊下を全力疾走する悪い子を捕まえてもらえます〜?」
呼び声に反応して。旅館の中に観葉植物のように佇んでいたドレディアが目を覚まし、まだ朝だからか眠っていたランプラーの灯りがつき、インテリアのように置かれていたツボツボがにょきりと岩から顔を出し、わたしを見た。
「ここのポケモン達は飾りじゃなくてクレーマー撃退要員にもなってるんですよ? さあ、観念して……」
「レイ、もう十分近づいた!?」
×○
○○
肯定と否定が混じったもの。でもこの反応ならもうちょっと。なら。
「メタグロス、『サイコキネシス』で押さえておいて!」
ちょっと厳しい注文かもしれない、だけど今頼れるのはこの子しかいない。
メタグロスは四本の足を念力で飛ばして、物理的にドレディア達を釘付けにした。
「随分とまあ、やってくれますね。ポケモンのお手入れも大変なんですよ?でもこれでもうメタグロスは手一杯、というか足一杯ですよね?」
「……だったら?」
「あたしが追加でもう一体出せば、もう逃げられないってことですよ〜さあ、マスキッパいきなさい!『からみつく』!」
頭以外の全部がツタのようなポケモンが、わたしに向かって近づいてくる。
チラリと振り返るけど、やっぱりマスキッパの方が早い。
わかっていても、追いつかれるわけにいかない。全力で走る、走る、走る。
それでも、ほんの十秒くらいでマスキッパの影がわたしを覆った。
「子供がポケモンと追いかけっこして勝てるわけないでしょう〜? さあ、観念しなさい!」
「レイ、お願い!!」
○○
○○
体にかかる浮遊
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