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ヘタリア大帝国
TURN29 開戦前夜その三
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 マダガスカルの暑さにだ。フランスはたまりかねた顔になっていた。
 そしてその顔でだ。こう妹達にぼやいていた。
「流れ流れて仮寝の星にってな」
「流れ着いたというのですね」
「ああ、全くだぜ」 
 そのダークブルーの軍服の暑さもあってそれにも苦しみながらだ。フランスは妹に話していた。
「どうなんだろうな。本当に」
「仕方ないけれどね」 
 フランス妹の他にセーシェルもいた。その彼女が言ってきた。
「負けたから」
「随分あっさりと言ってくれるな」
「だって事実だから」
 セーシェルはあっけらかんとさえなってフランスに話す。
「フランスさんドクツに負けたからね」
「まあな。それでここまで流れ着いてな」
「じゃあここで頑張るしかないよ」
「だよな。しかしここはな」
「ここは?」
「人間以外の種族がいるからな」
 見ればその熱帯の海岸にだ。オフランスの軍人達の他にだ。
 アライグマが二本足で立っている様な外見、尻尾まである種族が薄着で歩いている。その彼等を見ての話にもなった。
「確かあの連中は元からここにいるんだよな」
「はい、そうです」
 その通りだとだ。フランス妹が兄に答える。
「パルコ族といいます」
「ガメリカのところのアライグマみたいだな」
「そうですね。確かにそっくりですね」
「まあ。仲よくやってるよな」
「私とは仲いいよ」  
 セーシェルが答えてきた。
「だから安心していいよ」
「御前とはかよ」
「うん、だって私の国の人達だからね」
「セーシェルとマダガスカルの原住民なんだな」
「そうだよ。面白いでしょ」
「まあな。それにしてもマダガスカルっていってもな」
 どうだったかというのだ。これまでのフランスの対応は。
「これといって意識もしてこなかったな」
「植民地ではありましたが」
「何ていうかな」 
 どうだったかとだ。フランスは妹に話す。腕を組み微妙な顔になっての言葉だった。
「バカンスの土地位しか思ってなかったな」
「はい、確かに」
「セーシェルと一緒でな」
「しかし今はですね」
「ああ、俺達にはもうこことセーシェルしかないからな」
 ドクツとの戦いでの敗戦で本土を失いだ。その結果だった。
「だから仕方ないな」
「そうなりますね」
「ここで頑張るか。本土が戻るまでな」
「エイリスが奪還してくれるでしょうか」
「それかガメリカがな。けれどそれもな」
 また難しい顔になってだ。フランスは溜息を出した。
「自分の力できないってのがな」
「そのことですか」
「ああ、残念っていうかな」
「情けないですか」
「俺結構弱いって思われるよな」
「はい」 
 妹はここでさらっとだが確かにだ。兄に容赦のない言葉を告げた。
「確かにそう思われてますね」

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