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血戦・姫騎士ゾンビVSサムライオーク〜そして全てが首になる〜
本編
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りを固めて、構えを直す。
しかし、先に動いたのは女だった。威圧的な絶叫を上げ、前進する。
身体が千切れるのも厭わぬ突貫。腰を異常なまでに捻ってからの、胴を両断にかかる豪剣。
オークはすかさず後ろへ飛んだ。喰らえば致命は、免れなかった。だが、それだけでは終わらせない。着地で足を踏ん張り、前へと飛び込む。喉元を狙い、切っ先で突きを入れる。過つ事なき剣閃。されど届かず。刀で僅かに逸らされた。
互いに致命を狙い合う、懸命の死闘。攻防は既に十を越えたが、未だに互角だった。
オークも姫騎士も膝をつき、呼吸を整えていた。されど目線は切らずに睨み合い、隙あらば斬りかからんとしていた
姫騎士は己の危うさを悟っていた。
肌の傷。
千切れ行く手足。
体力の消耗。
生ける屍故の回復力は、既に鎧装束による防御を犠牲にしていた。
あれほど昂ぶっていた力も、少しずつ落ちてきている。
翻って、目の前の奇妙な敵はどうか。
間違っても意気軒昂ではない。
己よりも傷を多く負い、一部に至っては泡立ち始めていた。
しかし目に揺らぎはない。己への殺意を、昂ぶらせている。
姫騎士には手に取るように状態が理解できた。かの者は。己と渡り合うオークの戦士は。放っておけば同胞となる。
しかし歓迎できなかった。同胞になる前にケリを付けたい。欲望が噴き上がる。理性を凌駕する。
あまりに理屈から外れた欲望に、姫騎士は口元を笑みに歪めた。歪な決意が、己を満たす。
最早鎧は要らなかった。全ての力を、全身に注ぐ。鎧が消える。呼吸を重ねるごとに、装束が色濃く変わってゆく。
刀が脈動し、血脂が削ぎ落とされる。昏い輝きを取り戻していく。
次の一撃でケリをつける。呼吸が深まり、身体の全てが脈を打つ。昂ぶる力をその身に溜めて、解き放つ。
獣じみた咆哮を引っさげ、姫騎士は駆け出した。敵手は僅かに遅れていた。目を剥いている。だが緩めない。これで勝てるのなら、とうに戦は終わっていた。
全てを焚べよと、内側から声がした。
女は思う。そうだ。この強き男を喰ってしまえば。
屠る。
喰う。
同胞にする。
それで全てが。
思考が消えていく。大口を開け、オークの肉に歯を突き立てんとする。
オークの肌が目前に迫った。
それが姫騎士の見た、最期の光景だった。
姫騎士の首は宙で二回程回った後、音もなく地に落ちた。
オークの刀は力なくぶら下がっていた。
オークの肌に突き立てられんとした屍の牙。
しかし寸前。刹那の間に。オークは限界を超えて刀を振るった。腕が千切れんばかりに疾く、鋭く。
結果オークは勝利した。されど己の滅びも確信した。
千切れんばかりに振るった腕が、回復し
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