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血戦・姫騎士ゾンビVSサムライオーク〜そして全てが首になる〜
本編
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すように逆立ち、白く染まり。所々に返り血がこびりついていた。生前のような艶やハリはなく、それもまた、姫騎士が魔性に堕ちたことを示していた。

 姫騎士が、不意に顔を上げた。そこに生気は無い。しかし生前から讃えられていた、その面立ちの良さは健在であった。
 首を傾げる。先程まで洞窟内部に満ち満ちていた筈の同胞の声が、いつの間にか途絶えていた。

 姫騎士は目を閉じ、探る。何が起きているのか、何が起きたのか。その果てに、見た。
 血生臭い空間に。
 鉄錆の臭いのみが残る場に。
 一匹のオークが立っていた。こちらが見えていないにもかかわらず、姫騎士は睨まれたかのような錯覚に襲われた。心臓を一掴みにされ、握り潰されそうな悪寒。身体が僅かに震えてから正気に戻り、自身がまだ動けることに安堵を覚えた。

 しかし、姫騎士はその感情を自ら粉砕した。恐怖をねじ伏せ、力を求めた。
 感情を焚べたかのように、姫騎士から赤黒の炎が立ち上る。
 目が赤く染まる。
 逆立つ髪が、うねりを増す。
 鎧が装束を覆い隠し、肌を伏せ。禍々しく。

 姫騎士は深く息を吸い、吐き出した。その行為一つだけで、身体が一回り威容を増す。
 姫騎士の力は今、最高潮に達していた。

 ***

 激しさを極めた屍の第二波は、オークの心身に少なからず傷を与えていた。いくら蔑みを受けていたとはいえども、群れを同じくするものである。斬るにはわずかのためらいがあり、その隙を突かれる形で、彼は負傷した。

 しかし、彼は足を止められなかった。屍の死骸が作り上げた道を、ただ進む他なかった。その先に、濃密な血の臭いがしたからだ。

 群れを救う。
 危険な屍を再び殺す。

 ただの題目には、最早興味はなかった。
 この先に、一等強い屍武者が居る。そう思うだけで、心が躍りそうだった。
 足を進める度に、臭いは濃くなっていく。
 自然と口角が上がり、疲労を圧する気迫が立ち上っていく。
 高揚感が、オークを押し上げて。

 遂にオークは、「それ」と対面した。
 洞窟の奥底。かつて群れの者が、死体置場だと笑っていたか。
 そこには女が唯一人。闘気を燻らせて立っていた。

 見ただけで、ハッキリと分かる。この女こそが、一等強い。
 噎せ返る程の臭気の中で、変わり者は犬歯をあらわにした。彼に、敵を見くびるという風習はない。女であろうが、同じだった。
 刀二つ分の距離まで進む。敵も同じく、笑っていた。直後。

 雫が岩肌に落ちる音。
 蛮声と咆哮が交わり、洞窟を揺らし。
 刃鳴りを交えた両者の刀が、鈍い音を響かせる。

 オークが上段から振り下ろした兜割りの一刀は、下段からの神速によって阻まれた。手の痺れを残して、刀はオークの元へと跳ね返る。握
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