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血戦・姫騎士ゾンビVSサムライオーク〜そして全てが首になる〜
本編
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のである。
 変わり者は中から刀を数本手に取り、身に括り付けた。
 その後二匹を説得し、森で待機させた。足手まといを減らす為だ。話に聞いた奇妙な死体が、塒を埋め尽くす。その前に事を終わらせるのだ。

 普段は決して近付かぬ塒。日夜乱痴気に塗れ、忌避し続けてきた塒。されど今は、別だった。足取りも確かに、オークはさほど遠くない道を行き、死地たる洞窟を前にして。

 大音声の、咆哮を一つ。
 洞窟に向けて放たれたそれは、戦士の名乗りじみて中へと響き渡り。
 生ける屍と、生き残りのオークを引き寄せた。
 変わり者は仲間を逃すと、屍の軍勢に刀を向けた。たった一匹のオークに対して、軍勢は五十にも迫らんとしていた。
 ただし屍共は、人もオークも一絡げにし、列を連ねて押しかけるのみ。無知極まりない襲撃は、変わり者にとって鎧袖一触。試し斬り程度にしかならなかった。

 蛮声と斬撃が、洞窟で交互に反響する。
 オークが一つ吼える度に、蠢く屍が斬り飛ばされる。肉を落として、岩肌に這う。慈悲もなく、容赦もなく。両手持ちの大剣が、ヒトに。かつての同類に。血煙をばら撒いていく。

 しかし死体共も一筋縄ではなかった。首を落とされた個体こそ動きを止めた。されど大半の屍は、未だに蠢く力を残していた。唸るような声を上げつつ、身を起こしていく。
 オークは刀を、下段に構えた。守りの構えだが、右膝を深くしている。隙あらば、斬り上げて攻め込む。そういう気勢だった。

 ザリッ。

 オークが一歩、足を踏み出した。聴覚は機能しているのか、屍共も動く。次の瞬間、偶然の一騎打ちが発生した。オークの斬撃と、屍の突進が交錯。その後、屍の首が落ちた。オークが後続の屍を睨み付けると、屍共はジリジリと引いて行く。
 オークは、今しがた倒れた屍を一瞥した。首。経験則が、屍の致死点を暴き立てる。確信させる。
 変わり者は目を光らせて気勢を上げ、勇躍し。そのまま屍の群れに飛び込んだ。


 暫く後。地に残るのは。首のみがこぼれた屍の山であった。血の海だった。汚れを気にするでもなく洞窟に立つオークは。僅かな残心の後、刀を下ろした。遠くより聞こえる叫喚の声からすれば、遠からず第二波は来るだろう。
 刀を見れば、既に刃こぼれを起こし、血脂に染まっていた。オークは、大剣を無造作に捨てた。斬れぬ刀に意味はない。むしろ、洞窟内で振り回すのであれば。体に括り付けた剣から選んだのは、一見頼りない、片刃細身の剣。

 しかしオークは、この剣の真価を知っていた。かつて塒に襲い来った冒険者。小癪にも知恵をもって群れを炙り出そうとし、塒に火種を投げ込んだ男。
 その男が手にしていた片刃で細身の剣は、小ぶりながらも恐るべき切れ味を持っていて。変わり者に手傷を負わせていた。その傷は、今も胸
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