030話 修学旅行編 最終日 修学旅行の終わり
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そして庭に出るとエヴァと話をしている刹那の姿がうつった。
「っ……士郎さん!」
「起きたか士郎」
「体調がよろしいようでよかったです、衛宮先生」
刹那は俺の顔を見た瞬間、泣き出しそうな顔になったが他二名はいつもどおりだった。
「刹那…やはりでていくのか?」
「はい。あの姿を見られたからには一族の掟ですから出て行かなければいけません」
「そうか」
「なんだ、士郎? 意外に冷たいんだな?」
「いや。ただ俺は知人や家族のような人たちの手を振り払ってまで姉さんとともに家を飛び出して色々なものを今まで失ってきたから刹那の気持ちはわからなくもない」
「なるほど。つまり“言う資格がない”というわけだな」
「そうともいうのだろうな。だがな刹那、これだけは言わせてもらう。お前はそれが本当に最善だと思っているのか?」
「しかたが、ないのです。掟は絶対なのですから……」
「なら……その掟どおりお前がここから立ち去ったとして残されたこのかはどうなるんだ?」
「っ!? それは…士郎さんに守っていただければ安心です」
「ああ……確かに守ってやれないことはない。だが命は守れても心までは守ることは俺でも不可能だ。このかはきっとお前がいなければ塞ぎこんでしまうかもしれない。……前に言ったな? これで三度目かもしれない。刹那、関係はまだやり直せる。俺と姉さんとは違い引き返すことは何度でもできるのだからそれを大事にしろ」
「士郎さん……ですが!」
刹那は今にも泣きそうになりながらも後ろを向き、走り出そうとした。
だが突如として俺たちがいる後ろの障子が思いきり開かれそこからこのかが刹那に向かって飛び出してきた。
「嫌や、せっちゃん! せっかく仲直りできたのにまた離れ離れになるやなんてウチもう嫌や!」
「お、お嬢様……!」
このかは刹那を行かせないようにぎゅっと力を両手にこめて押さえつけている。
だから俺は最後に一言、「刹那、その手を振り払うことができるか……?」と言ってあげた。
「……私は、ここにいてもよろしいのでしょうか?」
「それは刹那自身が決めることだ。このかの事を守ると誓ったのだろう? ならば中途半端に信念を捨てずにずっと抱えていろ。これ以上は俺はなにもいえないからな」
刹那は涙を流しながら「はい、はい……」と何度もお辞儀をしてきている。
後ろからなにやらニマニマと含みのある笑みを浮かべているエヴァがいるが今は無視をしておく。
それから他のみんなも飛び出してきてなんのわだかまりもない表情をした刹那とともに旅館へと帰っていった。
◆◇―――――――――◇◆
そして旅館に戻って、詠春さんとまた会う時間まで暇だったのでふと疑問があったことがあるのでロビーで今現在、茶々丸が買ってきたのだろう八
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