第十幕その一
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第十幕 幸せな気持ちになって
こねつきを食べたその日の午後です、先生達は林檎園に戻ってきた下坂さんに優花里さんのことをお話しました、するとです。
下坂さんもそれならとです、笑顔になって言いました。
「そうですか、言われてみれば」
「こうしたこともですね」
「優花里にとっていい経験になって」
「はい、それにです」
「あの娘のお友達もですね」
「喜んでくれると思いますので」
それでというのです。
「いいと思われますね」
「はい」
下坂さんは先生に笑顔で答えました。
「それなら」
「そうですね、それでお孫さんは」
「結局紅玉で落ち着いて」
「それで、です」
そのうえでというのです。
「アップルティーや林檎料理を造って」
「お友達にですね」
「プレゼントするとのことで」
「退院祝いに」
「そう決まっています」
「いいことですね、あの娘は子供の頃からやんちゃで」
下坂さんは困った様なそれでいて優しい笑顔で先生に優花里さんのことをお話しました。ご自身の記憶の中にあるそれを。
「色々とです」
「あったのですか」
「外見はああでも男の子みたいで」
それでというのです。
「ずっと見ていて心配だったんですよ」
「そうだったんですか」
「はい、どうなるのかって」
「男の子みたいにですか」
「結構外見も派手になって」
「お奇麗ではないですか」
「いや、中学とか高校の時は髪の毛を赤くしてです」
つまり染めていたというのです。
「制服も着崩してやけに短くして」
「不良みたいにですか」
「はい、アクセサリーもちゃらちゃらさせて」
そうした格好になってというのです。
「どうなるのかって思ってたんですよ」
「悪い人になるんじゃないかと」
「まあそれでも煙草とかシンナーとかしないでいじめとかカツアゲとか万引きはしないで」
「悪いことはしなかったんですね」
「付き合ってる子も派手なだけで」
外見がというのです、優花里さんと同じく。
「悪い子はいなかったんですがね」
「ファッションだけだったんですね」
「それで何処か安心してました、学校もちゃんと行って家の仕事も嫌な顔をしないでやっていましたし」
「いい娘ですね」
「昔から根はそうなんですよ」
いい娘だというのです。
「本当に」
「僕もそう思います」
「はい、ですがやんちゃで派手な身なりなのは事実で」
それでというのです。
「どうなるかってです」
「心配でしたか」
「はい、ですがそこまで友達思いで」
それでというのです。
「林檎のこともしっかり考えてわかっているなら」
「心配無用ですね」
「そうですね、ただあの娘は車の運転が荒っぽいので」
今度はこんなことを言う
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