007話 ホレ薬の悪夢
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「そうですか。それより本日はお願いがあってここに参りました」
「ん? どうしたんだ? 急に改まって」
「はい。士郎さんは自身が実力は二流と評していますが様々な戦闘ができると私は判断しています。ですから勝手な話だとは思いますが稽古の相手をしていただけませんか?」
「いいのか? 桜咲にも師はいるのだろ? これといって攻めるといった型がない俺に教授しても得はないと思うが?」
「そんなことはありません。士郎さんは型がないからこそなにをしてくるのか私にも判断できないところがありますから」
「ふむ、なるほど。実績を積みたいといったところか?」
「はい。士郎さんは本当の戦場で実績と様々な戦闘理論を学んだといっていましたが、私は……京都神鳴流という剣技を日々研鑽していますが、実戦といったことは師により聞かされた事と、前の夜のように学園内に侵入してきた魔物達との戦闘経験くらいしかありません」
「それはそうだな。戦闘に年齢は関係ないがまだ桜咲は中学生だ。そうそう本場に立ち会うことはないだろうしな。
できればそんな現場には桜咲に対して侮辱になるかもしれないが、まだ学生なのだから表の世界を普通に楽しく過ごしていってほしいのが本心だ。
だが、桜咲はもう自身の決意でこの世界に足を踏み入れている。
俺には理由はわからないが相当な覚悟を持ってな。
なら俺は止めることはしない。それこそ本当の意味で侮辱になってしまうからな。
だから俺でいいのならいつでも付き合ってやろう。
たいていこの時間にはこの森でやっているからいつでも来るがいいさ」
「はい、ありがとうございます! そして私のことも念頭にいれて考えていてくださり感謝します」
「そんな褒められたものではない。俺は考えが甘くて馬鹿なだけだ。昔も、そして今もな。
俺自身はただひたすらに無意味な戦場にかけていき、いざとなれば魔術がばれてもいいという考えで戦争によって虐げられている人達を救い続けて、結果、封印指定をかけられて姉さんにも迷惑をかけ、そして世界からも見放された身だからな。
桜咲はもちろん他のものにも俺のようなすべてのものを救いたいという“正義の味方”を理想にしていて人生を蔑ろにしている無鉄砲で命知らずな奴にはなってほしくないというただの我侭だ」
「士郎さん……」
◆◇―――――――――◇◆
Side 桜咲刹那
……やはり、そのような理由でしたか。
ですが士郎さん、あなたの考えは決して間違ってないと思います。
そもそもすべてのものを救いたいという問いに正解か間違いかなんて存在しないのです。
だから私にはその愚直ですがまっすぐに想いを貫いていける士郎さんの姿は眩しいものがあります。
私もお嬢様を守りたいという考えはありますが、“あの時”から再会してからはつい避けてし
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