第一部
乗り越えろ
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「そうさ。英雄になりたいって夢を、輝きたいって願望を諦めたくない。だから学園に戻ってきた。だからお前ともう一度戦うんだ」
青獅の瞳が鋭くなると炎が宿り、紫闇からの睨み据える視線を受け止める。
「ぼ、僕にも……立華君と、同じように、ま、負けたくない、理由が、有る……!」
闘技場への通路が分かれていた。
互いの入場口に向かって。
そこで青獅が吼える。
まるで獣が伝えるように。
「ぼ、ぼくの方がッ! 強いッッ!」
紫闇が戦った時とはまるで別人。
遊ぶつもりなどまるで無い。
「俺も前とは違うぜ佐々木……!」
(笑っていた奴等に証明してやる。過去を乗り越えたことを。お前を倒してな)
もう胃の痛みは消えていた。
会場に入ると眩いスポットライト。
紫闇を照らす。
それを浴びて花道を歩く。
耳には歓声。
舞台に上がり青獅と対峙。
舞台ごと結界で包まれる。
バトルフィールドが形成された。
同時に紫闇の右腕が肘まで装甲に覆われたが少し、しかし確実に様相が違っている。
形状は変わっていないものの、以前までは灰色だった【魔晄外装】が黒い。
『一回戦第六試合! 東方は立華紫闇選手ッ! 彼の外装はなんとっ、超稀少でありながら何の価値も無い『規格外』ですッ! そこに一年生の序列最下位という肩書きならば誰もがこう思うはずです! 一体彼はどうやって予選を勝ち抜いたんだ!? と!!』
ブーイングは無視。
(黙って見てろ。直ぐに教えてやる)
立華紫闇が如何な存在か。
対する青獅はと言うと。
「やっぱ中身だけ変わったんじゃないか」
紫闇の見る彼も外装が変わっている。
以前は灰色の棒だったが今は蒼穹色の槍。
外装の形状は本人の成長などによって変化することが有ることが知られている。
『西方は学年序列12位! 佐々木青獅選手ッ! 無礼を承知で断言しますが彼には何の才能も有りませんッ! しかしながら負けん気と根性は天下一ッ! 心の強さで限界を超えてきました! 常軌を逸した凡人は何処まで登るのかッッ!!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
現在の龍帝一年で序列12位。
元は紫闇と同じ三軍の中でも最底辺。
青獅は紫闇と焔のような出逢いが無かったにも関わらず自力でそこまで駆け上がった。
「佐々木。俺、ずっと謝りたかったよ」
「な、何、を?」
「お前を見下してた。凄い努力家だけど上には行けない。絶対俺の方が上だってな。それを今、謝っておきたい。本当に、馬鹿なこと思ってたよ。過去の俺は節穴野郎だ」
「べ、別に気にして
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