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ヘタリア大帝国
TURN26 親衛隊その四
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「人はね。そしてね」
「使えだな」
「そう。いつも通りね」
「私は人を見る目もある」
 その自負はあった。彼女はそちらでも天才と言われているのだ。
「だからだ。ヒムラーもだ」
「見抜いてそのうえで」
「使う。ロンメルの推挙もあるがな」
「ロンメル元帥が言うのなら間違いはないでしょうけれど」
 やはりグレシアはロンメルは信頼していた。このことは間違いない。
 だがロンメルはあくまで過去のヒムラーしか見ていない。再会しただけではわからなかった。そしてグレシアもそのことは知らなかったのだ。
 レーティアもだ。だからこう言うのだった。
「会う時を楽しみにしていよう」
「ええ、それじゃあね」
 レーティアは今はこう言うだけだった。そして。
 実際に官邸にヒムラーを呼んだ。当然ロンメルとグレシアも一緒だ。
 そしてそこにはドイツもいる。ドイツはグレシアと共にレーティアの傍らに立っている。
 レーティア自身は自分の執務用の席に座っている。そこからドイツに顔を向けて言った。
「さて、それではだ」
「親衛隊の隊長か」
「祖国君は知っているか」
「一応。名前だけはな」
 知っているとだ。ドイツもレーティアに答える。
「だがそれでもな」
「君が知っている親衛隊はどういったものだ」
「アイドルの追っかけだ」
 やはりだ。ドイツもそう思っていたのだった。
「だがそれでも。最近はな」
「軍としての機能も備えてきているか」
「そうなってきている様だ」
「私設の軍は許さない」
 レーティアは中央集権制、ファンシズムの統治システムから言った。ファンシズムは独裁体制だ。全ての権限はレーティアに集中しているのだ。
 それ故にだ。レーティアはこう言ったのだ。
「武力組織は全て国家が統合する」
「ではいい機会でもあるか」
「そうだな。ではまずはヒムラーに会い」
「親衛隊の訓練を見るか」
「そのうえで決めよう。ではそろそろだな」
 レーティアが顔を正面に戻すと。横からグレシアが秘書の様に言ってきた。
「ええ、時間よ」
「さて、ノイツィヒ=ヒムラーか」
 レーティアはヒムラーのその名前を口にした。
「どういった者か」
「見るとしよう」
 こう言ってだ。そのうえでだ。
 レーティアは部屋の扉が開くのを見た。そしてそこからロンメルと黒い軍服に首元にドクツのあの鉄十字を付けた若い男が入ってくるのを見た。二人は部屋に入るとだ。
 扉が閉められてからドクツの敬礼をした。そのうえで挨拶をしてきた。
「ジーク=ハイル」
「うむ」 
 グレシアはその挨拶に己の席に座ったまま手を組んだ姿勢で応えた。表情は真面目なものだ。
 その真面目な顔でだ。彼女はロンメルに問うた。
「そこの男がだな」
「はい、私の士官学校の同期で」
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