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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第14話:それぞれのお悩み相談
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は自分が許せなかった。もしあの時、2年前のライブ会場での戦いの時、もっとうまく立ち回れていたらそもそも響がシンフォギアを得ることも戦いに巻き込まれることもなかったのではないか? 奏はどうしてもその考えを拭い去ることが出来なかった。

 思い悩んで思わず頭を抱える奏。そんな彼女の様子を見て、響は優しく笑みを浮かべると頭を抱えている奏の手をそっと取り両手で包み込んだ。

「? ────響?」
「私、奏さんの過去に何があったかなんて知りませんし、今ここでそれを聞こうとも思ってません。ただ、一つ言えるのは、あの時の事があったから私は今ここに居るんです」

 そう。今でこそ響はこうして元気にしているが、最初にガングニールを纏った時はそれが無かったら間違いなくノイズの餌食になっていたのだ。彼女が最初に二課と接する切っ掛けとなったあの日、小さな女の子を連れて逃げた先で響はノイズの群れに囲まれてしまっていた。あの時は翼と奏もあの場に向かってきていたのだが、響がガングニールを纏うことが出来なければまず間違いなく手遅れになっていただろう。

 その事を考えると、響は奏の悩みが的外れのように感じられた。

「だから、奏さんは気にせずこれからも私の先輩として仲良くしてほしいんです。ノイズとの戦いだったら私はへいき、へっちゃらですから!」

 そう言って響は奏に眩しいくらいの笑みを向けた。その笑みに、奏は自身の心の中に燻ぶる蟠りが無くなっていくのを感じた。
 心で理解したのだ。響は奏の事を恨んでいないどころか、感謝してくれていると言う事を。結局のところ自分が抱えていた悩みがただの独り善がりであることを察し大きく溜め息と共にそれを吐き出した。

「はぁぁぁ〜〜……」
「あ、あのぉ?」
「ん? あぁ、気にすんな。ただ自分がどれだけ無意味な悩みを抱えてたかを理解して馬鹿らしくなっただけだから」
「馬鹿らしく?」
「そ、馬鹿らしく。まぁあれだ、とにかくありがとよ。おかげで元気出たわ」
「ん〜、何かよく分かんないですけど、奏さんが元気になってくれたみたいで良かったです!」

 何となくだが、奏がいつもの調子を取り戻したことを感じ取り嬉しそうに笑みを浮かべる響。それと同時に女将が二品目の皿を2人の前に出した。

「ほい、シーフード二つお上がり!」
「おっ! 待ってました!」
「えへへ、実は喋ってたら何だかまたお腹が空いてきたところだったんですよ!」

 いいタイミングで出された二皿目に、奏と響は勢いよく齧り付く。

 その際、奏の表情にはもう先程までの憂いは欠片も残ってはいないのだった。
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