暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第14話:それぞれのお悩み相談
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たのを見て、颯人は箱からドーナッツを取り出し口に運ぶ。

「うん、美味い。流石はマスド。翼ちゃんも、遠慮せず食べたら?」
「……いただきます」

 颯人に勧められ、翼もドーナッツを一つ手に取り一口食べた。颯人が選んだのはシンプルなプレーンシュガー、翼が選んだのはチョコリングだ。
 一口齧り、口の中に広がる甘さに思わず頬を綻ばせた翼。甘い物には人を幸福にする効果があると言う。何だかんだ言いつつも、翼もこの生理現象には抗えなかった訳だ。

 頬を綻ばせる翼の様子に、颯人も満足そうに笑みを浮かべた。

「うん、気に入ってもらえたようで何よりだよ」
「別に、そう言う訳じゃ…………と言うか、今更ですけど何時の間にこんなの買ってたんですか? この近くにマスタードーナッツの店なんてなかった筈ですけど?」
「本部来る前にちょちょいっとね。ほら、司令室の人達にも差し入れしようと思ってさ」

 話しながらも颯人は最初に手に取ったプレーンシュガーを食べ終わると、早くも二個目を手に取っていた。それを見て翼も少しだけ食べる速度を上げた。元よりこれは彼が買ってきた物なので彼が食べること自体は構わないのだが、何となく独り占めされるのは嫌と言うか損しているような気がしたのだ。せめてもう一つくらいは食べておきたいと言うのは、甘いもの好きな乙女心だろうか。

 翼が二個目のドーナッツに手を出した時、颯人は二個目を食べ終えており三個目に手を出した。だが彼はそれを口に運ぶことはせず、それを手に持ったまま翼に彼女を引き留めた目的を話し始めた。

「さて、このまま遅めのお茶会も悪くないんだけど、そろそろ本題いっとくかね」
「ッ!? そうです、何で急にこんなことを?」

 ここで漸く翼も、最初は鍛錬に行こうとしていたのに颯人に強引に引き留められた事を思い出し、緩んでいた頬を引き締め問い質す。
 尤も、その口元には直前に食べたドーナッツに入っていたクリームが付いたままだったので先程に比べて迫力は半分も存在しなかった。

 これはいかんだろうと颯人は箱の中に入っていた紙ナプキンを翼に差し出しながら口を開いた。

「ま、一言で言えば…………もちっとオープンに接してくれって話だな」
「はっ?」

 颯人の突然の言葉に、しかし翼は今一要領を得ない様子だった。確かにこれだけでは彼が言いたいことは伝わり辛いだろう。彼自身もそれを理解しているからか、手にしたドーナッツを齧りつつ言葉を続けた。

「翼ちゃんさ、俺が奏と仲が良い事に嫉妬してるでしょ?」
「そ、そんな、事──」
「誤魔化さなくてもいいよ。気持ちは分かる。多分俺と翼ちゃんの立場が逆だったら、同じようなことを思う自信はあるからさ」

 コーヒーで口の中の甘さを洗い流しながら話す颯人に、翼は言葉
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