第1話 いつもと違う世界
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てきますかねー」
「...お兄ちゃん、まさかとは思うけど寝癖直して服きて終わり...みたいなことはないよね?」
「は? それ以上になんかすることある? ああ、歯磨きもするが...」
「...もう! ちょっとこっちきて!」
「ちょ! なにすんだよ!」
突然、腕を引っ張られ、洗面所に連れて行かれる。慣れた手つきで髪をセットしたり、化粧水を塗られたり、爪を磨かれたりすること20分、ようやく満足したのか、弟が手を止めた。
「...まあ、これなら許容範囲かなぁ」
「おい、なんだよこれ、別にここまでしなくても...」
(おいおい、なんだこれ、これって俺なのか? すごいなんというか...まともに見える!)
「あのさ、お兄ちゃん。弟としてってより、男として言わせてもらうけど、さっきまでの格好、正直終わってるよ。冗談抜きで男捨ててるとしか思えないんだけど。家族として恥ずかしいから明日からは最低限これくらいは善処してよね」
「善処って...」
「あ、あと、服も今日だけは自分のチョイスで選ばせてもらったからこれきてね。あの様子だとパーカーにズボンとかで出て行きそうだから」
「はあ? 何でお前に服まで!」
「きてね、わかった?」
「あ、は、はい...」
反論しようと思ったが、弟の目がマジだったのでやめた。これは逆らったら殺されるやつだ。
「じゃあ、僕は行ってくるから、お兄ちゃんも頑張ってねー」
「行ってらっしゃーい。...あら、ひろも随分男らしくなったじゃない、ふふっ、華の男子大生って感じよ」
「...華? だめだ...俺がおかしいのか? 昨日まではこんな...」
母の言葉や弟の言動に少し違和感を覚えつつも、慣れない格好のままリビングに戻りテレビをつける。
明らかに昨日とは違う世界に戸惑いを隠せない。
<続いてのニュースです。昨今問題になっている男性へのセクハラ行為に対して、政府は具体的な...
<今話題! 男子必見のおしゃれカフェ特集!...
<絶対に焼かない、男を磨くのは40を過ぎてから...
「やっぱりおかしい...これってまさか男女が...」
「なにブツクサ言ってんのよ、ほら、さっさとしないと本当に遅刻するわよ」
「やべっ! こんな時間か! 行ってきまーす!!」
「はーい、行ってらっしゃい」
朝から戸惑っているうちに、遅刻ギリギリの時間になっていた。息急き切ってホームに向かう。何とか電車の時間には間に合ったようだ。電車に乗り込み、今日の朝からの違和感を整理していた。
(母親の言葉、弟の自分に対する言動...うーん...男女間で何かが逆転して...)
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