第五十六話 卒業式の前その二十一
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「随分立腹しなくなったのね」
「なにか阿波野君には結構、だけれど」
よく注意します。
「それでもそうかしら」
「あまり怒ってないでしょ」
「ええ、入学してからね」
このことにも長池先輩の存在が大きいです、何しろ怒ったところを見たことがなかったからです。私の知っている限りでは。
「そのつもりよ」
「そのことがね」
「いいことなのね」
「立腹しない、八つのほこりはね」
おしい、ほしい、にくい、かわいい、うらみ、はらだち、よく、こうまんです。その他に嘘とついしょも戒められています。
「いつもね」
「注意することね」
「そうよ、だからその子にしてもそうで」
「先輩もなのね」
「二人共よ。それで千里もよ」
私自身もというのです。
「いつも気をつけてね」
「ええ、それはね」
私にしてもです、いつも気をつけているつもりです。
「そうしていくわね」
「絶対にね、さもないとね」
「後で取り返しのつかないことにもなるわね」
「自分が後悔することになるから」
だからというのです。
「本当にね」
「八つのほこりはこれからもね」
「注意していってね」
「そうしていくわね」
私はお母さんに言いました。
「大学に入ってからも卒業してからも」
「そうして成人していってね」
「そうしていくわね」
お母さんに約束してでした。
私達は南の礼拝堂のところから神殿本部を後にしました、そのうえで詰所に戻ろうとしましたがここで、でした。
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