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ドリトル先生の林檎園
第九幕その十一
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「そうなっています」
「幸村さんお一人で駄目でも」
「はい、十勇士の人達がいて」
「護ってくれる神様か仏様がいて」
「それで、ですよ」
「鹿児島まで逃れられたんだね」
「そう思います、それと秀頼さんの息子さんは」
 この人もというのです。
「やっぱり生きていたと思います」
「あの人もだね」
「はい、このことは幸村さんとは別に」
「生きているんだね」
「そう思います、木下家のあの人はどう考えてもおかしいです」
「一応生まれた年は違うけれどね」
 先生はその人のお話もしました。
「それもね」
「どうもですね」
「何とでも言えるからね」
「当時は」
「実際にその人結構生年が怪しいところあるし」
「じゃあ本当に」
「うん、木下家の中でも当主の人達の一子相伝のお話だったらしいけれど」
 そこまで極秘のことだったというのです。
「生きていた可能性はかなり高いよ」
「そうなんですね」
「僕は生きていたと思うし」
「それいつも言われてますね」
「不自然だからね」
 公には捕まって処刑されたとあってもです。
「何かとね」
「だからですね」
「重臣の人が連れて逃げたともあるし」
「その説もあるんですね」
「それと共にね」
「秀吉さんの奥さんの実家に匿われて」
「その木下家にね」
 まさにその家にというのです。
「言われているんだ」
「そして秀頼さんの生存説以上に」
「幸村さんのそれも入れてね」
「生存説は、ですね」
「あの人はより可能性が高いね」
 そうだというのです。
「本当に」
「公の記録はともかく」
「実際はそうなのかもね」
「本当に生きていて欲しいね」
「そう思うよね」
「日本人はそうしたお話が特に好きな感じですけれど」
「他の国の人達以上にね」
 先生が見てもです。
「そのまま非業の死を遂げたっていうのはね」
「日本人の好みじゃないですね」
「義経さんなんか特にだね」
「あの人は死んでますよね」
「衣川でね」
 実際にというのです。
「どうやら」
「そうですか」
「北海道に逃れていて欲しいけれど」
「義経さんについては」
「確かな証拠やまさかというものがはっきりしないから」
 秀頼さんの息子と違ってです。
「僕としてはね」
「そう思われてますか」
「うん」
 実際にというのです。
「残念でもね」
「けれど先生としても」
「生きていて欲しいよ」
 義経さんもというのです。
「やっぱりね」
「ああした最期は悲しいですから」
「お兄さんに狙われてね」
「そう思わざるを得ないですね」
「僕も義経さんについて調べたら」
 日本に来てから本格的にそうしました、このことも。
「生きていて欲しいと思ったからね」
「そうですよね」

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