第61話
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に、てめぇの思う通りに生きてきたつもりだった。だがハーメルの惨劇も、オフクロとの時間も、別れも…………最初っからあの場面に向かう為に仕組まれた”流れ”だったわけだ。…………クク…………笑えるザマだろ…………」
「アッシュ…………」
「……………………」
皮肉気な笑みを浮かべて語るアッシュの様子をサラが複雑そうな表情で見守っている中レーヴェは目を伏せて黙り込んでいた。
「…………失せろや。もう、話すことなんざねぇ。役者が出番を終えたら、もう舞台を下りるだけ…………あとはこの場所でくたばれりゃあそれで――――――」
「やれやれ、”灰色の騎士”や”ユウナ・クロフォード”という”重心”、そして”Z組”という”拠り所”がなければ所詮は”その程度”か。」
自暴自棄になっていたアッシュが話を続けているとレーヴェが呆れた表情を浮かべてアッシュに対して痛烈な指摘をした。
「あん…………?」
「――――――俺とヨシュアすらも今まで気づく事ができなかった”三人目の遺児”。それを知った時は驚くと同時に興味が沸いたものだ。――――――ヨシュアよりも幼かったにも関わらず”ハーメルの悲劇”によって俺のように”人に絶望する”訳でもなく、ヨシュアのように心を壊した訳でもなく、自らの意志を保って俺達のような”闇”ではなく、”光”の世界に生きてきたお前の生き様に。」
「レーヴェさん…………」
レーヴェの言葉を聞いたトワは複雑そうな表情で状況を見守っていた。
「――――――かつて俺は人を試そうとした。人という存在の可能性をな。」
静かな表情でかつての自分を思い浮かべたレーヴェはかつての自分の目的を話し始めた。
「時代の流れ、国家の論理、価値観と倫理観の変化……。とにかく人という存在は大きなものに翻弄されがちだ。そして時に、その狭間に落ちて身動きの取れぬまま消えていく……。俺たちのハーメル村のように。」
「!!」
レーヴェの話を聞いていたアッシュはかつての”ハーメルの惨劇”を思い出して目を見開いた。
「今回の戦争に関しても同じことだ。政府は”第二のハーメル”を未遂に防がれてしまった”アルスター襲撃”と”皇帝銃撃事件”の”真実”を隠蔽しようとしている。まるで”百日戦役”のように都合が悪いものを忘れ去ろうとするかのようにな……」
「………………………………」
「真実というものは容易く隠蔽され、人は信じたい現実のみを受け入れる。それが人の弱さであり、限界だ。だが”輝く環”はその圧倒的な力と存在感をもって人に真実を突きつけるだろう。国家という後ろ盾を失った時、自分たちがいかに無力であるか……自分たちの便利な生活がどれだけ脆弱なものであったか……。そう……自己欺瞞によって見えなくされていた全てをな。」
「…………まさかそれを”人”に思い知らせるのがアンタの――
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