第百三十六話 鹿児島攻めその十一
[8]前話 [2]次話
「鹿児島に」
「わしじゃな」
「そうだ、お前は交渉も上手だ」
「まあ口が達者とは言われるのう」
「いや、達者ではない」
そこはとだ、英雄は当季の今の言葉を否定した。そのうえでの言葉だった。
「しっかりと相手も状況もこちらのこともわかってだ」
「そしてか」
「交渉をしている」
「口先三寸でないかのう」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「一緒に来てもらいたい」
「わしが真の交渉上手だからじゃな」
「そういうことだ、いいだろうか」
「面白そうぜよ」
右目を瞑ってニヤリと笑ってだった、当季は応えた。
「受けさせてもらうぜよ」
「そうしてくれるか」
「ほな旗本を何人か連れてじゃな」
「そのうえで行くとしよう」
鹿児島、敵の本拠地にというのだ。
「それでいいな」
「わかったぜ」
当季は応えた、そしてだった。
英雄は軍勢を率いてそうしてだった、仲間達と共に鹿児島に向かった。隼人から鹿児島までは近かった。
そうして鹿児島に着くとだった。
英雄は鹿児島の街とその奥にある城を見て言った。
「街はいいが」
「それでもですね」
紅葉が応えた。
「お城は」
「どうもな」
「小さいですね」
「城は城だが」
それでもとだ、英雄はその城を見て述べた。
「小さい、そして天守閣もな」
「ないですね」
「櫓も少ない、堀も狭い」
「城壁も石垣も低くて」
「随分とな」
「九州全体を治める勢力の本城としては」
どうもとだ、紅葉も述べた。
「小さいですね」
「城よりもだな」
「政、そして軍勢ですね」
「その考えの様だな」
「そうですね、そうした考えもありますね」
「俺は城は見栄えも必要と考えてな」
そうしてというのだ。
「周りを広く見ること、そして武器庫としてな」
「大坂城の天守閣を築かれましたね」
「そうだった、だが本当にな」
「見栄えも考慮されて」
「天守閣を建てさせた」
大坂城のそれをというのだ。
「そうしたが」
「それが、ですね」
「どうもだ」
「この勢力は違いますね」
「そうした考えもあるか」
「人は城ですね」
ここで紅葉はこの言葉を出した。
「そして石垣であり堀である」
「他の国の城は使ってもな」
「それは戦や政の拠点で」
「それでだ」
「武田信玄さんの様に」
「豪奢な城や堅固な城よりもな」
「政の拠点には使っても」
それでもとだ、紅葉もその城を見つつ述べた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ