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レーヴァティン
第百三十六話 鹿児島攻めその十

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「それ自体がじゃな」
「避けたい」
「鹿児島の街を傷付けたくないのう」
「出来る限りな」
「ならじゃ」
「使者を送る」
 このことはもう決まっているというのだ。
「問題はその使者だが」
「ならじゃ」
 ここで当季は言った。
「おまんが行くか」
「俺がか」
「そうじゃ、総大将であるおまん自身が行けばな」
 それでというのだ。
「頑固で戦好きな薩摩隼人でもじゃ」
「降るか」
「そうなるわ、ああした連中はじゃ」
「肝だな」
「相手のそれを見るきにのう」
「俺がそれを見せるとか」
「従うかも知れん」
 こう英雄に話した。
「そうでないかも知れんが」
「だが降る可能性は増えるな」
「可能性が高い方がいいのう」
「確かにな」
「やってみるんじゃな」
「この世界で俺を倒せる者はいない」
 敵の本拠地に乗り込む、即ち何時切られるかはわからない。そうした死地に乗り込んでもそうしてもというのだ。
「一人もな」
「おまんは強い、しかも」
「術が使えてな」
「そしてじゃな」
「これもある」
 腰にある天羽々斬を見ての言葉だ。
「だからな」
「誰もじゃのう」
「俺を倒せはしない、毒を盛ろうにもな」
「毒を消す術も使えるのう」
「術にはそうした使い方もある」
 今話が出たそちらもというのだ。
「だからな」
「何があろうともじゃな」
「心配は無用だ」
 まさにという言葉だった。
「俺についてはな」
「そうじゃな、ほなのう」
「行って来る」
「わかったぜよ」
 当季は英雄の言葉に頷いた、だが。
 その中でだ、紅葉が言ってきた。
「お一人だけで行かれることは」
「用心の必要はなくともか」
「一つの勢力の棟梁としてです」
「格があるか」
「はい、この世界に来て考えましたが」
 そのうえでの言葉であるというのだ。
「やはりそれなりの勢力の主になりますと」
「使者に赴くにもか」
「格式がありますので」
「一人で行くことはない、か」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「この度はです」
「供を連れて行くべきか」
「何人か」
「そうだな、それに交渉となるとな」
 降るそれを行うにあたってもとだ、英雄は紅葉に応えて話した。
「俺はどうも硬い」
「その話し方にしても」
「そうだな、だから俺の他にな」
「交渉を行ってくれる人をですね」
「釣れて行く必要もある」
「では」
「来てくれるか」
 英雄は当季を見て彼に声をかけた。
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