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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋神の巫女と魔剣《デュランダル》 U
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この方法は策として価値を持つ。
──白雪に手を出すのは、誰であろうと許さない。
キンジは胸中で悪態を吐く。重厚な拍動が胸を打った。
刹那、自分自身でも驚くほどに、そして馬鹿馬鹿しいほどに、先程まで蔓延し身体を蝕んでいった痛苦が、緩和されていく。
何故だ、と訝しみ、逡巡する──間もない。
キンジは先程までとは一変した俊敏な動作で、床に放り投げられたナイフを手中に収める。
非常灯に照らされた紅は、鮮血か瞋恚の権化か、はたまた別の何かなのか。憎たらしいほどに澄んだ紅に見えた。
意識はこの一瞬で、纒わり付く汚泥を全て払った。身体も、神経も、総じてキンジに利を譲るかのように、味方している。
出せるべく最大限の脚力を以て、彼は《魔剣》へと肉薄した。
「……小癪な」
《魔剣》が異変に感づき、視線を白雪からキンジへと逸らす。
そして白雪を一瞥した──毒で弱体化しているとはいえ、眼前に日本刀を持った敵がいる。遠山の処理もしなければならない。
だが《魔剣》は逡巡すらせず、白雪を無理矢理、自分の前に立つように引き寄せる。 即ち、生身の人間を盾としたのだ。
キンジは突如として現れた生身の盾に、僅かにその俊敏であり鋭敏でもある動作を阻害された。
幸か不幸か、紅光りしたナイフの刀身はまだ2人のうちどちらかの薄皮を穿ち抉るには至っていない。
「白雪、そのまま動くなッ!」
助走時間がそのまま考慮時間だ──と言わんばかりに、キンジはただ一点に狙いを定めて、そこを正確無比に射抜こうとする。
肘を軽く引いて、柄を握る手を捻るように打突した。微量の空気が繊細な渦を巻き、唸りにも似た風切り音を立てる。
刀身は白雪の頬を掠めるか否かのところで紅銀に映射し、それが《魔剣》の頬を薄ら仄かに照らした。
避けるか──と考慮する暇すら与えず、キンジは《魔剣》の顔を覆い隠しているフードの中に迷いなく刀身を突き付ける。
「──ッ!」
皮膚の裂ける艶かしい感触と、鮮血の吹出する感触。その2つから意識を白雪へと即座に移した。切り返し動作で彼女を抱き抱えるようにし、バックステップで数十歩ほどの距離をとる。
この奇襲策が形としては成功した。が、正確に受けられていたら自分の身が危うかったかもしれない。
僥倖だ、と胸中で苦笑してから、キンジは白雪を床に座らせた。
「大丈夫か?」
「うん、私は大丈夫だよ。ただ……毒が、少しだけ」
「……そりゃ厄介だな。少し休んでろ」
キンジは警戒心を保ちながら、《魔剣》へと向き直る。浅く顔を覆うフードの中に見える蒼玉色の冷酷な瞳が彼を見据えていた。
白雪に負けず劣らずの雪肌からは、鮮血が一筋、滴下している。《魔
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