第五十六話 卒業式の前その十六
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「千里が入学した時に」
「そうだったわね」
「それからもう、なのね」
しみじみとした口調でした。
「三年経ったのね」
「そう思うと早いわよね」
「そうよね、それで卒業して」
「ええ、今度は大学生ね」
「本当に早いわね」
「卒業出来るか不安だったわ」
当初は本当にそうでした、果たして卒業出来るのかどうか。東寮で三年間やっていけるかどうか不安で仕方なかったです。
ですがその時にでした。
「素敵な先輩ともお会いして」
「長池先輩ね」
「今度紹介していい?」
「ええ、千里がお世話になった人だから」
「一年間何かと助けてもらったのよ」
もう何から何まで、でした。
「凄く優しくてしかも奇麗な人なの」
「その二つのこといつも言ってるわね」
「本当のことだから」
あんなに親切で奇麗な人はいないです。
「だから言うのよ」
「同じ兵庫の人よね」
「奇遇なことにね」
これもお引き寄せでしょうか。
「そうだしね」
「じゃあ本当にね」
「今度お家の教会に来てもらって」
「お話聞きたいわね」
「私のこととか」
「そうよ、どんな人か知りたいし」
「あんないい人いないわよ」
このことははっきりと言いました。
「優しくて気がついてね、穏やかで」
「そんなにいい人なの」
「しかも物凄い美人さんだから」
大学生になってさらにお奇麗になったと思います。
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