第九幕その一
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第九幕 林檎をあげることは
先生は下坂さんの林檎園をお邪魔した次の日も林檎園にお邪魔しました、その時に動物の皆は先生にこんなことを言いました。
「林檎をあげるってことはね」
「先生が藤村さんのお話してくれる時に聞いたけれど」
「交際しようって意味なのね」
「そうなのね」
「藤村さんが言うにはね」
そうだとです、先生も答えます。
「そうなるね」
「そうだよね」
「それも面白い表現だね」
「あと日本だと月が奇麗ですねっていうのはアイラブユーだね」
「そうした表現もあったね」
「そちらは夏目漱石さんだったね」
この人のものだというのです。
「これまた面白い表現だね」
「日本人のロマンもまた独特だね」
「面白いものだね」
「林檎をあげるってことは付き合って下さい」
「そうした意味だって」
「藤村さんのあの詩は」
皆は今は普通に林檎を食べています、スライスしたそれを皮ごと食べていますがそれもまたとても美味しいです。
「僕も好きだしね」
「そうだよね」
「じゃあ先生もね」
「神戸に帰ったら日笠さんにあげたら?林檎を」
「そうしたら?」
「そうだね、ただ日笠さんはお友達だから」
わかっていなくて応える先生でした。
「そうした意味でね」
「林檎あげるのね」
「交際とかじゃなくて」
「そういうのじゃなくて」
「只のプレゼントなんだ」
「そうするのね」
「勿論今回も日笠さんにお土産渡すよ」
そうするというのです。
「大切なお友達だからね」
「若しかしてって思わないの?」
「そこで」
「日笠さんは、とか」
「そうした風には」
「だから僕位もてない人はいないから」
本当にこう思っているのが先生です、ご自身では自分位恋愛について縁のない人はいないと思っているのです。
「だからね」
「日笠さんからもなのね」
「そうした感情は持たれていない」
「そうだっていうのね」
「そうだよ、何度も言うけれど僕がもてたことは」
それこそというのです。
「なかったからね」
「そうかな」
「そこを疑ったらどうかな」
「その実は、とか」
「そうしたことは」
「ないよ、それに僕は皆がいてくれるから」
動物の皆とトミー、王子を見て言うのでした。
「恋愛と縁がなくてもね」
「いいんだね」
「本当にそう言うんだね」
「本気で思ってるし」
「だからいいんだね」
「そうだよ、人にとって恋愛は素晴らしいものだよ」
先生もこのことはそうだと考えています。
「けれど僕にとってはね」
「そこを考えたら?」
「違うんじゃないかとか」
「あと周り見てみたら?」
「自分から恋愛にチャレンジしてもいいし」
「そうしてもいいじゃない」
「いやあ、
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