第一部
春斗に非ず
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その時に死んだという。
春斗は無明都市の発生時に何らかの影響で外部へと弾き出されてしまったことで彼は無明都市に隔離されなかった『生還者』という世界的にも稀な存在となる。
春斗は二人のことに執着しているわけではないが、二人は今でも彼に影響を与えていた。
仏頂面の父と厳格な母が一度だけ破顔して頭を撫でてくれた時のこと。
魅那風流の奥義を身に付けた時だ。
「よくぞその歳で身に付けた」
「貴方には剣才が有る。かけがえの無いものを持って生まれましたね春斗」
これが忘れられなかった。
だから剣の道を歩み続けている。
鬼に成れない自分でも諦めが付かないのは、この時のことが有り、『人』のままで強者となって見せた《永遠レイア》が居たから。
(父母が褒めてくれたのはあれっきり。最初で最後のことだった。だからこそ魅那風流の剣士であることに固執するのかもしれない)
左手の甲に有る【古神旧印】
春斗は初期状態の点。
それも仕方ないだろう。
彼は学園に不登校な状態。
もちろん【天覧武踊】にも出ていない。
春斗を気にした全司が話を振る。
「五割まで完成させてからが長い道程になる、と何処かで聞いたことが有るな」
「はい。古神旧印のシステムが生まれてから七年経ちますが、完成率が五割以上に達した者は世界で30名に満たないようです」
古神旧印は天覧武踊で相手を失神・殺害してエネルギーを奪うのだが、それを続ければ必ず五割以上になるというものではなかった。
二人の会話にエンドが口を挟む。
「俺の予想ですけど刻印は強者を倒さないと成長しないんじゃないんですかね? このシステムは圧倒的な強者、『神に選ばれし者』を決める為のものじゃないかと」
【古代旧神】が何を考えているのか人間には理解できるわけも無いが、エンドと春斗には全司の思考が手に取るように解った。
神に選ばれし者。
それは孫の春斗に非ず。
彼はそう思っている。
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