第八話「練習」
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だろう。恐らくルナミスさんの欠点の一つだ。
「えっと、どうでしたか?」
「うん、何となく分かったよ。先ずは二つの魔術についてだけど命中精度、威力、共に申し分ないけど速度がない。あれじゃ的は百発百中を狙えるけど変則的に動く、例えば試合とかだと一気に命中率は落ちると思う。厳しい言い方をすれば【練習でしか活躍できない】、それが今のルナミスさんだと思う」
「な、成程。確かに私は他の人より魔術の発射速度は遅いですし……」
「そして次に、ルナミスさんは魔術を使用した後に少し膠着するよね」
「は、はい。魔術を使った後は大体固まってます」
「それだと試合や実戦ではいい的だよ。だから硬直しないようにしないと」
「わ、分かりました!」
その後は速度を上げるように意識しながら魔術発動後の硬直を無くす事を中心に練習を行った。流石に目に見えての変化は対してなかったけどルナミスさんはいい練習でしたと喜んでくれていたからな。
練習は日が暮れ始めるまで行われその後はルナミスさんと別れた。ルナミスさんはそのまま帰ったが俺は暫くの間魔力制御や魔術の練習を行った。その時に如何に自分のスキルが重いデメリットなのかを改めて理解した。
本来ならこのスキルは騎士には向いているのだろう。魔術が効きづらい相手など敵からしたら厄介だろう。とは言え最近は銃の発展により接近戦なんて時代遅れとなってしまっていたがな。
「……賑やかな町だな」
練習を終え帰路につく中俺は所どころで騒がしいベルンの街を見てそう呟く。故郷の公国では夜にこんなに騒ぐことは出来ない。魔獣が出るからだ。
魔獣は魔力を持ったがために暴走した獣たちの事だ。基本的に獣は魔力を持っていない。それが何らかの理由により魔力を体内に有してしまい体が魔力に適合しようとした慣れの果てだ。基本的に理性などなく騒がしいところに出ては見境なく襲う。公国以外の国では国を覆う程の結界により魔獣はほとんど発生しないが魔術後進国である公国は結界などない。だから国中で魔獣の被害が相次いでいる。故に人々は魔獣が最も活発化する夜には家に籠り朝まで出てこないのが一般的だ。
既に見慣れた光景とは言えいつ見ても俺の心を軽くしてくれる。世界には自分の知らないことがまだまだたくさんある。そう思わせるのだから。
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