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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
過去編 孤高の戦姫は、過去を捨て前へと進む
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この先、ジルフリーデ一行の戦力として、華々しい活躍を飾ることになるのだが。
ついに最後まで、条件として提示していた報酬金を受け取ることは、なかったのである。
あの日の敗北を塗り替えるほどの、勝利。それに勝る宝など、彼女の中には存在しないのだから。
◇
――その旅路が終わりを告げて。かつての戦姫が聖国から姿を消し、さらに6年後。
某国を滅ぼしてからも、大陸各地で暴虐の限りを尽くしていた帝国貴族ババルオは。アイラックス将軍を喪い敗戦国となった王国へと、ついに触手を伸ばしたのだが。
そこに潜伏していた「帝国勇者」によって、副官を務めていたアンジャルノン将軍と共に一蹴された挙句。バルスレイ将軍率いる帝国騎士団に捕縛され、裁判にかけられる羽目になってしまったのだという。
だが、アンジャルノンが護送中の馬車で暴れ出し逃亡すると、それに便乗して脱走することに成功。傷だらけになりながらも辛うじて、遠方の国へと落ち延びていたのだが。
「ハッ、ハァッ、ハァッ……な、なんなんだお前は!? なぜ儂を狙う!?」
「なぜって、あなたが賞金首だからに決まってるじゃない。その首にいくら懸かってるのか、知らないのかしら」
「え……ええィッ! 女如きに捕まってたまるか! 返り討ちにして、その穴という穴を犯し尽くしてくれるわ――ッ!?」
その先で遭遇した、見目麗しい緑髪の女槍使いによって。股間の剛剣を切り落とされた挙句、帝国騎士団へと突き出されてしまったのだ。
「――ぎ、ぃ、や、ぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあッ! なっ、なぜだぁあぁあ! なぜ儂が、この儂が、こんな目にィイッ!」
「あなたが、弱かったから」
それが10年越しの因縁であることを知っているのは、片方のみであり。強欲な醜男が彼女を思い出すことは、終ぞなかったのだという。
「……あなたがただひたすらに、弱かったのが悪いのよ」
翡翠の如き輝きを放つ、艶やかな緑のロングヘアを靡かせ。扇情的な衣装を纏い、その白い肢体から男を惑わす色香を放ち。100cmを優に超える巨峰を弾ませる、眼鏡を掛けた絶世の美女。
26歳を迎えた彼女は、槍の切っ先に残る醜男の血を払うと。のたうちまわる彼を冷酷に見下ろし、かつて突き付けられた「現実」を、送り返すのだった――。
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