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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
第肆話 火喰い鳥-クワッサリー-
4-1 桐島カンナ
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記憶がないせいか、ジンは逆にアイリスと同じ反応だった。そんな彼に同調した大神もまた興味を表している。
「ほ、本気ですのあなたたち…?」
普段なら知識不足(といってもさほど大したレベルではないが)な大神たちや、記憶のないジンを「まだまだ見識の幅が狭いですね」と一言嫌味を言うところだが、少しだけそんな彼らを、すみれはこの時ばかりは羨ましく感じた。
「本当に、相変わらずね」
カンナの性格をわかってか、ふぅ…とため息交じりにマリアは微笑していた。昨夜に見た悪夢も、舞台の台詞のミスのことも、そのときは忘れていた。




米田は、屋根裏部屋に上がっていた。
帝劇の一番上にあるこの場所は華撃団専用の書庫としても機能しており、いくつもの古書を含めた本が棚に並べられている。
「ジンの奴、もっといい部屋を用意してやれるってのに…物好きなもんだぜ」
米田は、屋根裏部屋の一角にある、一か所の窓の前に取り囲むように張られた天幕を見る。その場所はジンが個室として利用している場所だが、個室とするにはどこか貧乏くさい印象だ。金持ち出身のすみれから見たらとても住みたいと思えるものでもないし、彼女でなくてももっといい部屋で過ごしたいと思うはずだ。それでもジンがここを選んだのは、『夜の星が一番よく見えるから』という意見からだった。彼は、夜の星を見るたびに不思議と懐かしい気持ちになる。
まぁあいつの部屋のことはいつでも考えられる。まずは調べものだ。そのために来たのだから。
米田は、目星のある古書を何十冊も棚から引っ張りだし、読み漁っていった。


太正6年、満鉄地獄。三つ葉重工による大量の軍需物資横流しが発覚した事件
旧幕府の重役の血筋でもある鈴木太平、倉場富三郎逮捕
翌年の太正7年。『魔装機兵』出現
魔装機兵とは、そこいらに現れ暴れまわる脇侍たち怪蒸機の中でも恐るべき能力を持った機体である。そんな機体が帝都に現れるようなことになれば、帝国華撃団・花組の脅威となるのは間違いない。

徳川幕府の残党が魔装機兵の製造に携わっていたのは間違いなかった。だが、まだわからない。それらを裏で糸を引いていたのが誰なのか。

米田は偶然にも一冊の本に目を止める。江戸時代の、かなり古い古書だ。
その見開かれたページに、覚えのあるものがあった。
「こ、こいつは…」
その古書のページにて描かれていたのは……
「こいつは…脇侍!?」
帝都にて幾度も事件を引き起こした怪蒸機。花見を行った上野公園でも暴れていた『脇侍』だった。

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