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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
第肆話 火喰い鳥-クワッサリー-
4-1 桐島カンナ
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大神は目を丸くした。
「信じられないな…まだ舞台に慣れていないさくらならまだしも」
「ジンさん、それどういう意味ですか?」
隣でも話を聞いていたさくらがじとっとジンを睨む。自分だって頑張ってるんだぞと言いたげな目線に突き刺され、ジンは慌ててすぐに話を戻させる。
「そ、そういえば確かに、マリアさん最近ため息が多かったな。どこか上の空って言うか。さっきも妙なこと言ってましたよね?」
ジンから視線を向けられ、大神は頷く。
「ああ、確かに…」
劇が始まる前に、大神も隊長として楽屋を訪れ、花組の一同のその日の顔を見ている。
「何か仰ってたんですか?」
「『昔の夢をよく見ることがありますか』…って聞かれたよ」
「昔の夢…」
『夢』という言葉に、ジンの頭の中に、水の中で眠っている自分が沈んでいくビジョンが再び浮かび上がる。
「それで、大神さんはなんて答えたんですか?」
「士官学校の頃の夢とかを見る時があるとか、家族や幼い頃の夢…そういったものを見るって答えたよ」
さくらの質問に、大神はそう答えた。
「でもマリアも一人の人間だ。人間である以上、誰にだって失敗はあるよ。失敗したことを責めるんじゃなくて、なぜそうなったのか考えて次に備えないと」
「そうですね。
大神さん、ごく頼りがいがありますね」
大神の、失敗に対する見解を聞いて、かすみは頼もしさを大神から感じ取った。
「でも、マリアさんって、人に悩みを打ち明けたりしない人ですから…こういう時にカンナさんがいてくれたら…」
「「カンナ?」」
聞き覚えのない名前に、三人は誰のことかと首をかしげる。そういえば、とかすみは気が付いた。
「三人はまだお会いしてませんでしたね。
桐島カンナさんは、マリアさんと同じく花組の初期メンバーの一人です。花組の中でもマリアさんと一番お付き合いが長いですから、きっと力になってくれると思うのですけど…」
かすみはその先に関して説明できなかった。直後に次の公演のチケットを買い求めてきた客の応対に追われたからだ。
桐島カンナ。米田やあやめなら間違いなく知っているはずだ。そう思って、ジンはまず、支配人室にいる米田のもとへ向かう。
あやめはこの日、帝劇にはいなかった。話によると、花やしき支部にて、そちらに身を置いている別の花組隊員を呼び寄せるための手続きのために外出中とのことだ。今、マリアの憂いやカンナという人物について話を聞けるのは米田だけだ。
「おや、ジンさん。支配人に何か御用ですか?」
だが支配人室に来たところで、ジンは向かい側の廊下からやってきた奏組のルイスに呼び止められた。
「あ、ルイスさん?どうしたんです」
「ちょうどよかったです。舞台の修理に人手が欲しいからあなたを呼んでほしいと、先ほどすみれさんから頼まれました。
私も手伝いたい
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