破壊の権能
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とにSAOにいた者たちは同じ反応を示した。
無論、SAO時代のバーデンも攻撃速度に定評があった。しかし、今目の前で戦っているバーデンは明らかに当時の彼を凌駕する速度にあった。
「シオンが言うには、単純に本人が強くなっただけじゃない。もっと別の要因が絡んでいると言っていた」
「別の、要因・・・?」
「シンクロ率、ね・・・」
エリーシャは目を細めながらそう答えた。
「さっきから見ていて思ったんだけど、バーデンの動きがだんだんシューの動きに近づいてきてる」
「それってバーデンがシュー兄に合わせてきてるってこと?」
「逆だ、シュタイナーがバーデンに合わせたんだ」
「何でまた?」
「さあな。ただ一つ言えるのは、それによってバーデンとシュタイナーとの間に親和性が生まれ、精神と肉体のシンクロ率が上がったとシオンは言っていた」
精神と肉体の関係性はその者のパフォーマンスに大きく関わってくる。自分のイメージした通りに身体を動かすというのは言うのは簡単だが、実際はそれを100%出来るかというと案外できないものなのだ。
長年にわたる訓練、反復練習があってようやくたどり着ける領域、そこに今バーデンたちは踏み入れようとしている。
「多分、このままいくとバーデンは今のズレを修正する」
「そうなったら、シオンはかなり不利になる」
そう言うエリーシャは下唇を噛み、左腕を強く掴んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
気にいらねぇ・・・。
それがバーデンがシオンに抱いている印象と言える。
実力に見合わないおめでたい理想、どんなにぶっ飛ばしても向かってくる諦めの悪さ。
そしていつまでたっても曇らねぇその眼?????
見ていて腹が立つ。
いい加減・・・!
「消えやがれッ!!!」
大きく振りかぶった拳は地面に突き刺さり、衝撃波がシオンの身体を突き抜ける。
苦痛に顔を歪む。
HPも残り1/3に差し掛かっている。
もう息をするのもシンドくなる。
しかし、その足は止まらず前に進み続けた。
「諦めな、テメェじゃオレには勝てねぇ」
「まだ、終わってねぇ・・・」
「何故、そこまでシュタイナーにこだわる?」
バーデンは立ち上がろうとするシオンに問いかけた。
「コイツは死にたがっている。自分の罪を命をもって償おうとしている。何故止める?」
宿主であるシュタイナーの想いはバーデンにも伝わっていた。
今まで何人もの命を刈り取ってきた彼だからこそ理解できる《命の重さ》。
それは一人の青年が背負うには、あまりにも重すぎたのだ。
どんなに心を入れ替えても、どんなにク
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