第7章:神界大戦
第229話「前を見据えて」
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その言葉を瞬時に理解した者は、驚愕に息を呑んだ。
「……つまり、“戦闘技術が低い神相手なら勝ち目がある”などではなく、むしろこちら側の法則に引っ張られている戦闘技術が高い神の方が、やりようはあるということかい?」
「……推測でしかないけどな」
紫陽が要約し、理解が及ばなかった者も驚愕する。
「まぁ、やりようがあるゆうても、神の力がそのまま戦闘力になってるせいで、普通に勝つ事も難しいんやけどな」
「……反則的な身体強化をした優輝で、何とか攻撃が防げる。そんな神もいたしね」
優輝、とこよ、サーラ。直接的な戦闘力ではこの三人がトップを張っていた。
しかし、その三人がかりでようやく足止めが出来る程強い神も神界にはいた。
さすがに、それで“やりようはある”と言われてもピンとこないだろう。
「私からも一つ、神界の事で分かった事が」
続けて、とこよが挙手する。
「神界では、“意志”を強く保つ事で致命傷すら覆す事が出来たんだけど……それって、本当に“意志”だけの力なのかなって」
「とこよはあたし達のほとんどが洗脳されていた時、最後の足掻きとして自身の思い出や心象を形とする術を行使した。結局は“格”の昇華がなくなってすぐに破られたけど、それまでならきっちり耐えていたんだ」
とこよの言葉に紫陽も補足するように続ける。
「つまり……“意志”を強く保つのは、飽くまで手段でしかないと思うんだ」
「では、何が重要と捉えているのですか?」
「自分を自分として定める……所謂自己の“領域”。“ここまでなら出来る”“この程度では倒れない”とか、自分が定めたものを自分のものとして支配下、または制御下に置く事で成立させる、まさに“自分を自分として成り立たせるモノ”。それが神界では重要だよ」
「領、域……?」
抽象的な表現だったからか、ほとんどの者が理解しきれていない。
だが、とこよもこれ以上分かりやすい表現は出来なかった。
「これは理屈じゃない。ただ“そう在る”だけだ。表現しようにも的確な言葉が“領域”しかない。自己を成り立たせる“領域”。とにかく、それが重要なのさ」
「理屈じゃない……なるほどね……」
ごく一部の者は理解したのか、納得したように頷く。
椿もその一人で、理解したからこそ冷や汗を掻いていた。
「“性質”もその“領域”から来るものって訳ね。神がそう言った存在且つ、“領域”を持つのなら、当然“性質”もそれになる」
「椿の言う通りだな。霊脈の調査がてら、色々推測していたが……はやての憶測を混ぜれば全部が全部的外れとも考え難い」
“性質”を持つから、それに類した雰囲気や容姿を持つのではなく、“領域”が形を為し、力と為す故に“性質
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