第7章:神界大戦
第229話「前を見据えて」
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そ、神夜は立ち上がった。
「“仇を取る”……なんて、そんな大それた真似をする資格があるかはわからないけど、まだ諦める訳にはいかないんだ」
「神夜……」
「……そっか。……ちょっといいかな?」
「ん?」
「フェイトはちょっと待っててね」
嘘ではない。アリシアは神夜の目を見てそう判断した。
だからこそ、ふと気になった事を問うために一度フェイトと引き離す。
会話を聞かれないように軽く防音の術を掛け、アリシアは神夜に問う。
「これは確認だよ。……ジュエルシード事件の時、フェイトのために動いたのは、相手が“フェイト”だったから?」
「……どういう、事だ?」
「以前、帝から聞いたんだ。私やフェイト、なのは達は、転生者の皆にとって元々はアニメとかの登場人物だったって。……神夜も、そうだったの?」
「それ、は……」
神夜は言葉を詰まらせる。
それは、アリシアが“自分達はアニメ上の存在だった”と知っている事への驚愕や、アリシアの言う通りだったから……などではない。
当時の自分の気持ちをしっかりと思い出し、正直に答えるためだった。
何度か逡巡した後、答えをはっきりと口に出した。
「……一番最初、それこそ行動を起こすきっかけはそうだった。……だけど、そんなのは結局はきっかけでしかなかった。……打算やどう動けばいいか、なんて考えは確かにアニメを基準にしていたさ。……でも、“助けたい”という気持ちは、本物だ。これは断言できる」
「……そっか。そうなんだね」
「アリシア?」
神夜の答えに、アリシアは安心したように呟く。
「……うん。今の神夜なら、フェイトの事任せられるよ」
「任、せる?」
「そうだよ。私じゃ、弱さを見せてくれなかった。ママかリニスでもいいけど、家族だからこそ弱さを見せてくれないかもしれない。……でも、神夜なら」
どういう事なのかと、神夜は呆気にとられる。
「確かに、魅了の力で仮初の感情を植え付けられていた。でも、それでも神夜が本心からフェイトを助けた事に変わりはない」
「けど、任せるって……」
「……フェイトが弱さを見せられる相手になってほしいの」
「………」
“信じて、頼られる”。魅了が判明してから、初めての経験だった。
魅了という所業を知ってなお、アリシアはフェイトを任せると言ったのだ。
「……俺なんかでいいのか?」
「魅了という真実があっても、フェイトを助けたのも真実に変わりないよ。まぁ、後はフェイト次第だけど……神夜は元々悪意があった訳じゃない。心の折り合いさえつければ、十分信用できるからね」
そう。何度も言われているように、神夜は善人の類だ。
思い込みが強い所を
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