第7章:神界大戦
第229話「前を見据えて」
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で呼ぶ。
姉として呼ぶとしても“姉さん”だ。
“お姉ちゃん”と呼ぶのは、寝ぼけている時など、平静じゃない時だけだった。
それ故に、本当にフェイトが辛そうにしているのだと、アリシアは見抜く。
「あっ……」
「……んー、そっか。まぁ、恐怖っていうのは抱え込みたくなるものだからね。私にも打ち明けられないのは何となく分かるかな」
「……ごめんなさい……」
「謝る事はないよ!私がもっと頼れる雰囲気出せてたらなぁとは思うけど、フェイトに落ち度はないから!」
そう言いつつも、アリシアは付き添いは自分以外の方がよかったと思っていた。
母親であるプレシアはまだ眠っているが、リニスもあの場にはいたのだ。
家族兼、フェイトの魔法の師匠でもあるリニスなら、上手く対応していた。
何となく、アリシアはそう思ってしまった。
「……あれって……?」
「え?どうしたの?……あっ」
ふと、フェイトは廊下の先にいる人物を見つける。アリシアも遅れて気づく。
「神夜……?」
「あ、フェイトにアリシアか。……二人共目を覚ましていたんだな」
神夜もフェイトとアリシアに気付く。
そんな彼は、どこか疲れ果てている様子だった。
「神夜は……」
「俺もそう早く目を覚ました訳じゃないが……まぁ、ずっと考え事してた」
神夜は神界での最後の戦いで、他の皆を守るために盾になっていた。
そのため、肉体はともかく精神や魂へのダメージがあったため気絶していた。
時間としては、アリシアと同じぐらいに目を覚ましていたが、今の今までずっと考え事をしていたらしく、外出していなかった。
「考え事?」
「大した事……でもあるか。今じゃ。……葛藤してたんだよ。俺に魅了の力を与えた神に負けて、諦めたい気持ちと諦めたくない気持ちでな」
「それって……」
神夜もまた、フェイト達と同じように思い悩んでいた。
あれ程の力を見せられて、敵うはずがないと諦めたくなる。
だけど、そうするともう何も残らないため、諦めたくない。
そんな、相反する二つの考え。
それを神夜も持っていたのだ。
「……でも、考えれば考える程、諦めたくない気持ちが強くなってな。……俺はまだ贖罪が出来ていない。それをしないまま、終わる訳にはいかないからな。……それに」
「それに?」
―――「その鬱憤はお前に力を押し付けた元凶にぶつけてやれ」
「……奴らを倒す理由が増えたからな」
魅了の力を持たせられていた事に気付かされ、酷く凹んでいた時。
神夜は帝の言葉で立ち直っていた。
その帝も、今はもういない。生死不明ではあるが、助かる見込みはないだろう。
……だからこ
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